更新日: 2020/07/20
キラキラと光が反射して、ラグジュアリーな雰囲気をまとうジュエリーバッグ。新しいジャンルのお稽古ごととして全国的に広がりを見せています。そのパイオニアとしてAJBジュエリーバッグ®協会を創立し、代表を務めている三浦紀子さんに、最新刊『ジュエリーバッグ GOLD&SILVERで作る大人スタイル』出版に合わせてインタビューを行いました。前編・後編の全2回でお届けします。
撮影:シロクマフォート 取材・文:酒井絢子
光沢のあるテープヤーンをネットに通したり、編み上げたりしてつくるジュエリーバッグ。最近では、季節に合わせラフィアや合皮をメインに使ったものも登場しています。
つくり方は決して難しいものではなく、特別なスキルがなくても完成度の高い作品がつくれることと、そのデザインの多様性も相まって、ここ数年で爆発的な人気を見せています。
▲黒&シルバーのコントラストがクールな雰囲気を醸し出す「リングハンドルバッグ」。「ジュエリーバッグはカラーのアレンジも楽しめます。例えば、白&シルバーで仕上げると女性らしく、また、持ち手のリングをクリアなものにすると柔らかなイメージに」(三浦さん)
三浦さんが代表を務めるAJBジュエリーバッグ®協会の認定講師コースの受講者は、2020年7月現在で述べ4800人を超え、認定サロンはその半分ほど。加速するその勢いに、「代表の私がまだついていけていないです(笑)」と三浦さん。
それもそのはず、三浦さんがテープヤーンそのものに初めて出会ったのが、わずか5年前のこと。それまではモデル、看護師として働いており、手芸や編み物の世界とは全く縁がなかったというのです。
「2015年の秋頃、たまたま友人が持っていた束のままのテープヤーンに興味を持ったんです。色はピンクだったかな、とにかくキラキラしていてかわいかった。それで何かやりたい!と思って、編み物が得意な友人にお願いをしてバッグづくりを教わりました。テープヤーンは彼女も扱ったことがない素材だったので、強引でしたけど(笑)」
▲「小ぶりなバッグだからこそ、パンチのある色でチャレンジしてもらいたい」という「ショルダーバッグ(ゴールド×ホワイトライン)」。チェーンはレザーテープなどに変更するとカジュアルにも。
「完成したバッグを人に見せると、『私もやりたい、教えて欲しい』って言われるようになって。そうなってくると私も無責任に教えることはできないから、ちゃんと勉強して、仕事としてがんばってみようと本腰を入れるようになったんです」
その勉強というのは、完全な独学。同じバッグを20個くらいつくり続け、網み目が落ちたり編みすぎたりといったトラブルのリカバリー方法を探っていったそう。さらには、暖房器具の近くでやるとどうなるか、お湯に入れてみるとどうなるか、といった取り扱い方の研究も。
「当時は編み物の知識がまったくなかったので、そのコンプレックスみたいな部分を、テープの特性を知ることでカバーしようと思ったのです。講師として責任を持って、失敗例も直接、生徒さんに教えることができるように」
それと同時に、編み物の技術も習得し、そのうちに編むことの楽しさに魅了され、編みたくて早起きをするほどになったそう。
「時間が経つのも忘れてしまうほど夢中になることなんてそれまでなかったから、面白いなと思って。編んでいると不思議と頭の中がスッキリするんですよね。そういう感覚をいろんな人に味わってもらいたいと思うようになりました」
▲三浦さんご自身も普段使いしているという、軽やかな「トートバッグ」。持ち手のクリアなチューブの中にビーズなどを入れてもかわいく仕上がる。
それまで、編み物や手芸を嗜む人たちは自分とは違う世界にいると思っていたという三浦さん。だからこそ、バッグづくりにのめり込むにつれて、手づくりとは縁遠い人たちにもその面白さを伝えていきたいと意気込むように。
2016年にはAJBジュエリーバッグ®協会を設立。ジュエリーバッグの名前で商標登録も受け、現在に至ります。
「人に教えるからには自分自身が社会的責任を持って、生徒さんとも“ジュエリーバッグ”という名前を共有していきたい、そんな思いから商標登録することを決めました。今では認定講師の皆さんがサロンを開いてレッスンを開催していたり、オーダーをとって販売をしていたり、それぞれが趣味の域を大きく超えて活躍しています」
2020年5月に出版された『GOLD&SILVERで作る大人スタイル ジュエリーバッグ』(日本文芸社)は、ほかの手芸本とは一線を画すスタイリッシュさ。作品のデザインやレシピだけでなく、スタイリングもモデルも三浦さんご自身が務めています。まるでファッション誌のような、ハイセンスな大人向けの一冊です。
▲「ロマーレ」と「チューブベリー」を斜めにクロスして仕上げた、上品に輝く「クロススタイルトートバッグ」。よりきらびやかにさせたい場合は、すべてを「ロマーレ」で仕上げるのがおすすめだそう。「ロマーレ」は軽い素材のため、大きなトートバッグにも向いている。
「難しいテクニックは使わず、手芸や編み物をやったことがない人でも『これならつくれそう』と思っていただける図案になるよう心がけました。それぞれの工程に共通点を持たせることで、デザイン違いや少しの応用でいろいろな作品づくりを楽しんでもらえるように考えています」
テープヤーンそのものは決して高価なものではないからこそ、仕上がったバッグがよりラグジュアリーに見えるよう、編み方やネットへの通し方に工夫を凝らしました。ここが特に苦心した点だそう。
後編では、ジュエリーバッグのファッションとしての楽しみ方や、バッグ以外にも広がるバリエーションについて、お伝えしていきします。
三浦紀子
AJBジュエリーバッグ®協会代表。看護師、モデルを経て、2015年より自宅にてジュエリーバッグ®のフリーレッスンを始める。2016年4月にAJBジュエリーバッグ®協会を設立。翌年2月には兵庫県西宮市に、ジュエリーバッグ®サロンを構え、日々レッスンに励みながら、新作発表を随時行っている。また協会メンバーがいつでも集える場所としても開放。2020年7月現在、認定講師数は4800を超える。著書に『初めてのジュエリーバッグ』『ジュエリーバッグスタイル』(共に主婦と生活社)、『ジュエリーバッグ GOLD&SILVERで作る大人スタイル』(日本文芸社)がある。
HP:https://www.ajbclubcoco.jp/
インスタグラム:@ajbclubcoco