つくりら文化祭*ワークショップレポート12 | 刺繍作家・atsumiさんの「絹糸でぬりえをするように刺繍する糸六ミニトート」

撮影:奥 陽子  文:つくりら編集部

刺繍作家のatsumiさんと京都の老舗糸屋、糸六さんとのコラボレーションで誕生した「糸六トート」。糸六さんで開催されたワークショップを取材させていただいたのは、2018年の夏のことです。

「今度は東京で!」。そんな思いをatsumiさんに打ち明けて、ついに念願叶った、つくりら文化祭でのワークショップ。糸六さんの出展という幸運も重なって、なんとも嬉しい一日になりました。


▲京都のワークショップ取材時にもご紹介したatsumiさんの見本作品。

京都でのワークショップでは、「糸六トート」は紺色でしたが、今回は新色を2種類。明るい青と茶色です。みなさん、お好きなほうを選んで。トートと一緒に糸六さんの糸もずらり。ここまで色が揃っていると、たくさんの色を使ってみたくなりますね。

テーブルの中央にも糸が並びます。明るめの色からくすんだ色まで、見ているだけでワクワクしてきました。すぐにもトートを袋から出して刺し始めたくなりそうですが、その前に基本のステッチのレクチャーです。

始めにきちんと刺し方を覚えましょう、というのがatsumiさんのレッスン方法。「急がば回れ」です。ホワイトボードを使ったレクチャーが始まりました。

バックステッチ、チェーンステッチ、コーチングステッチ、サテンステッチ、フレンチノットと、主なステッチを解説。刺し方は図解を交えてとくに丁寧に。刺繍ビギナーのみならず、なんとなく我流で刺し進めてきた人にとっても、自らの刺し方を振り返る、またとない機会です。

とっておきの上達方法として、atsumiさんが教えてくれたのが、ハートのモチーフ。縦・横・斜めといった方向や刺し方を意識して面を埋めるように刺してから、周囲を囲うように仕上がるときれいなハートになるんだそう。

講義の後は、糸六トートに・・・と思いきや、その前に、試し布を使っての刺し方の練習です。

さっそくハートの練習!

刺繍に慣れてきたところで、いよいよトートバッグに取りかかります。時間内に作品を仕上げなればならない、というプレッシャーはいっさいなく、自分のペースで、できるところまで、楽しんでやりましょう!というのが、atsumiさんのスタイルです。

茶色のバッグを選んだ方たちのトートをのぞいてみると、あ、刺しているところも色も本当に人それぞれ。面白い!

青いバッグを選んだこちらの方は、カード巻きモチーフから刺し始めています。

この図案はこのステッチで、という指示のない、自由な刺繍。ぬりえのように気に入ったモチーフから好きなように刺していく「糸六トート」の面白さ。このモチーフにはこのステッチが合うかな? なんて、いつのまにか自分で考えるようになっているのは、atsumiさんのレクチャーで基本ステッチの特徴をつかめたおかげかもしれません。

仕上がらなくても、そのままで十分美しい。Perfectly imperfect.そんな言葉が頭にふっと浮かびました。

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