更新日: 2019/10/11
旬の恵みを存分に堪能するアイデアを中川たまさんの著書『暦の手仕事』からご紹介します。
文:中川たま 撮影:宮濱祐美子
秋分を過ぎ秋の空気に包まれると、香ばしいものに惹かれます。夏には進まなかった焼き菓子も美味しく感じ、胃袋にどんどん入っていきます。
食事もそう。焼きの強いものやこっくりとしたものを欲してきます。
そんなときは、気軽にできる燻製がおすすめ。
我が家では、木のチップではなくお茶っ葉とザラメを使い、古くなったフライパンや鍋で作ります。
定番は「ベーコン」。
塩とハーブに漬け込んだ豚肉を15分火にかけるだけで、香ばしいベーコンに仕上がります。
ベーコンで「美味しい!」と味をしめると、いろいろなものを試してみたくなりますよ。
卵やチキン、ソーセージ。
チーズは溶けないプロセスチーズを使ってください。塩をふったサーモンや秋刀魚も美味しいですし、たくあんを燻製にすると、いぶりがっこのような味わいです。
お茶っ葉はほうじ茶や番茶、または紅茶やウーロン茶などを使います。茶葉でも香りが変わってくるので、組み合わせをいろいろ試して、お気に入りのフレーバーを見つけるのもいいですね。
台所から香ばしい匂いが漂って来ると、いてもたってもいられない。でも、冷めるまでガマンガマン。
香りも食事の大事なスパイスなのです。
ベーコン
燻製にする前に豚肉を3日塩漬けにし、さらにはちみつとハーブに3日漬けて熟成させます。時間はかかりますが、このひと手間で旨味が凝縮してコクが増します。
<作り方>
【1】 1日目。豚肉全面にフォークを刺して穴を空け、塩を均一にまぶす。ペーパータオルで包み保存袋に入れ、冷蔵庫に1日置く。
【2】2日目。ペーパータオルを取り替えて保存袋に入れ、冷蔵庫に1日置く。
【3】3日目。ペーパータオルを取り、肉の表面にはちみつを均一に塗る。ちぎったローリエ、ローズマリーを貼りつけ、黒こしょうをまぶす。ラップで空気が入らないようにきっちり包み、冷蔵庫でさらに3日寝かせる。
【4】 6日目。3を冷蔵庫から出して30分ほど置き、室温に戻す。
【5】 鉄のフライパン、または厚手の鍋の底にアルミホイルを敷き、茶葉、ザラメを敷き詰める。足のある網をのせ、その上にラップを外した豚肉を置く。大きめにカットしたアルミホイルを二重にしてかぶせ、煙が漏れないように蓋をする。
【6】5を中火に約15分かけて火を止め、そのまま冷ます。
<保存>
冷蔵で4〜5日
【書誌情報】
『暦の手仕事』
中川たま著
逗子在住の人気料理家・中川たまさんが伝える、季節を慈しむ「食」と「暮らし」の手仕事をまとめた写真エッセイです。
伝統を受け継ぎながら、今の暮らしに寄り添った保存食レシピや、季節ごとの心身の整え方など、暮らしを豊かにするヒントが満載です。
中川たま
料理家。神奈川県・逗子で、夫と大学生の娘と暮らす。自然食品店勤務後、ケータリングユニット「にぎにぎ」を経て、2008年に独立。旬の食材を活かしたレシピや、洗練されたスタイリングを書籍や雑誌などで提案している。 地元・逗子を拠点にイベントにも精力的に参加し、ジャムなどの保存食を提供するほか、伝統を受け継ぎながら今の暮らしに寄り添い、季節のエッセンスを加えた手仕事に日々勤しむ。 著書に『一汁二菜の朝ごはん』(成美堂出版)、『暦の手仕事』『旬弁当』『季節の果実をめぐる114の愛で方、食べ方』(すべて日本文芸社)、『私の好きなサラダの食べ方』(グラフィック社)、『たまさんちのおおらかなおやつ』(家の光協会)などがある。