更新日: 2022/04/19
春の恵みの雨が降り注ぎ田畑を潤します。『二十四節気 暦のレシピ』から穀雨の節のお話、この時季に旬を迎えるハーブから「ローズマリー」を紹介します。
文:猪飼牧子 撮影:清水美由紀 文・つくりら編集部
明日4月20日から二十四節気は穀雨です。
農耕にとって大切な恵みの雨が田畑を潤す時季です。不安定だった春の天気が落ち着き、急に冷え込んだり、霜が降りたりすることもなくなります。道ばたの草木からはフレッシュな緑を感じる香りが増え、次の季節への移り変わりを感じる頃。
大好きなハーブも旬を迎えますが、この季節一番に使いたいと思うハーブはローズマリーです。地中海沿岸原産、シソ科マンネンロウ属の常緑性低木で、和名はマンネンロウ。日本の気候にも合っていて、生命力も旺盛なので、ご自宅で育てているという方も多いかもしれません。
抗酸化作用が強く、若返りのハーブとしても知られるローズマリー。14世紀、ハンガリーのエリザベート王妃がローズマリーを使って若さを保ち、70歳を超えて隣国の国王に求婚された話はもっとも有名ではないでしょうか。
ローズマリーの使用方法は、ハーブティーやチンキ剤 (アルコールにハーブを漬けて成分を抽出した液)のほか、料理などにそのまま使えます。生花とドライ、どちらでも使うことが可能です。料理の場合は、爽やかなローズマリーの風味を楽しむだけでなく、強い抗菌作用から肉や魚の防腐効果も期待できます。塩こしょうで下味をつけた肉や魚をローズマリーやほかのハーブと一緒に一晩寝かせ、当日は焼くだけというソテーは、簡単で風味もよく、おすすめです。ただし、ハーブの量が多いとえぐみを感じる場合があるので、少量から試してみるといいでしょう。
精油の場合、同じ学名のローズマリーでもローズマリーシネオール、ローズマリーカンファー、ローズマリーベルベノンなど、異なる名称のものがあります。これはケモタイプと呼ばれる精油で、同じ種類の植物でも育った環境により含有成分が異なることがあり、それらのタイプを分類したもの。含有成分が異なればそれぞれの精油の効能も変わってきます。一般的にはローズマリーシネオールが三種の中では一番刺激が穏やか。カンファータイプは特に刺激が強く、ベルベノンタイプと並んで、高血圧、乳幼児、 妊娠中、授乳中、てんかんの方には精油の使用は禁忌となるので注意が必要です。
ご自宅でローズマリーが育ちすぎて困ってしまうという方は、 ハーブティーやお料理だけでは使い切れない場面もありますよね。そんなときは、剪定したローズマリーを花束のようにまとめ、スワッグにして玄関に飾るのもおすすめです。ドアを開け閉めするたびにローズマリーの香りがふわり。浄化や魔除けにも使われたローズマリーのスワッグは、日々の暮らしをさらに豊かなものにしてくれることでしょう。
*一部、再編集し掲載しています。
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【書誌情報】
『二十四節気 暦のレシピ』
猪飼牧子・清水美由紀 著古くから季節を表す言葉「二十四節気 七十二候」をテーマに、季節の移り変わりを花や植物で感じながら、ものづくりの楽しみを提案。
小さな変化を繰り返しながら、季節とともに四季をたどっていく植物。その時季の植物をアレンジメントや料理やおやつに生かしたり、心と体を健やかするハーブやアロマを活用したり、ちょっとしたおもてなしの小物をつくったり。二十四節気を植物とものづくりで体感できるアイデアとレシピ120を紹介します。
NEROLIDOL(ネロリドール) 猪飼牧子
フラワーアレンジメントやエディブルフラワー(食用花)、アロマテラピー、ハーブなどの植物教室を開催する傍ら、季節の花束、オリジナルブレンドハーブティー、ドライフラワーやプリザーブドフラワーなど本物の植物を使用したアクセサリーの販売などを手がける。植物が姿を変えながらも、生活に寄り添ってくれている「植物のある暮らしと装いを」を伝えている。
ホームページ:http://nerolidol-flower.com
インスタグラム:@makiko_nerolidol/
清水美由紀
フォトグラファー。生活を感じる旅、暮らしのあれこれ、健やかな食&住が興味の対象。雑誌やWebなどで「LIFE(生活、暮らし、人生)」にまつわる写真を撮影。日本&世界を娘とふたりで旅しながら写真を撮って暮らしている。美しい日常の瞬間を切り取った透明感のある写真は、国内外問わず、多くのファンを魅了している。
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