更新日: 2022/04/04
『二十四節気 暦のレシピ』から清明の節のお話「ゼラニウム」を紹介します。
文:猪飼牧子 撮影:清水美由紀 文・つくりら編集部
清明という節は、天も地も、すべてのものが生き生きと輝きを増す時季。この言葉を聞くだけで、地球上の生きものが明るく、きらきらと成長していく、そんな様子が目に浮かぶよう。緑豊かな草花や草木が好きな私にとって、外を歩くだけで心躍る、天国のような至福のときです。
そんな生命が輝く季節にふさわしい、香りの植物があります。わずかに緑っぽさを含む、フローラルな香りのゼラニウムです。
ゼラニウムはフウロソウ科ペラルゴニウム属。観賞用から香りのある薬用のものまで300種以上あります。芳しい香りを漂わせるのは、センテッドゼラニウムと呼ばれる品種。目にも鮮やかな赤やピンクの花を咲かせる観賞用のゼラニウムとは品種が異なり、薬用として使われています。
香りがあり、ハーブとして活用されるゼラニウムの和名はニオイテンジクアオイ。南アフリカ原産で、江戸時代にヨーロッパより渡来したといわれています。観賞用のゼラニウムに比べ、花は小さく、楚々としていてその大きさは1、2センチほど。花時期は4月から7月ですが、現在は四季咲きの品種も出ています。ハーブとして使うのは葉。鉢物として花屋さんで売られることも多く、総称してセンテッドゼラニウム、または香りの特徴によりローズゼラニウムやレモンゼラニウムなどの名で出まわっています。
主な活用法は精油です。ゼラニウムといえばバランスといわれるほど、心身全体を調整してくれるハーブであり、特に女性特有の不調の改善に効果が期待されています。ローズと同じ成分が含まれているため、古くから香料としての活用も。ほどよい甘さと華やかさ、そして芯の強さを持ち合わせた香りは、主張しすぎず、精油をブレンドする際にも度々登場します。
切り花としても人気のゼラニウムは、主にグリーン花材として活躍。葉の色や形は種類がありますが、私のお気に入りは斑(ふ)入りのタイプです。ところどころに白い斑の入ったゼラニウムの爽やかなビジュアルは、香りと相まってさらに美しく見えます。
気品のあるフローラルグリーンの香りがふわりと鼻に抜けるゼラニウムの花束は思わず抱きしめたくなってしまうほど。心癒される香りも一緒にお届けできる、幸せの花束です。
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Twitter:@tsukurira0714
【書誌情報】
『二十四節気 暦のレシピ』
猪飼牧子・清水美由紀 著古くから季節を表す言葉「二十四節気 七十二候」をテーマに、季節の移り変わりを花や植物で感じながら、ものづくりの楽しみを提案。
小さな変化を繰り返しながら、季節とともに四季をたどっていく植物。その時季の植物をアレンジメントや料理やおやつに生かしたり、心と体を健やかするハーブやアロマを活用したり、ちょっとしたおもてなしの小物をつくったり。二十四節気を植物とものづくりで体感できるアイデアとレシピ120を紹介します。
NEROLIDOL(ネロリドール) 猪飼牧子
フラワーアレンジメントやエディブルフラワー(食用花)、アロマテラピー、ハーブなどの植物教室を開催する傍ら、季節の花束、オリジナルブレンドハーブティー、ドライフラワーやプリザーブドフラワーなど本物の植物を使用したアクセサリーの販売などを手がける。植物が姿を変えながらも、生活に寄り添ってくれている「植物のある暮らしと装いを」を伝えている。
ホームページ:http://nerolidol-flower.com
インスタグラム:@makiko_nerolidol/
清水美由紀
フォトグラファー。生活を感じる旅、暮らしのあれこれ、健やかな食&住が興味の対象。雑誌やWebなどで「LIFE(生活、暮らし、人生)」にまつわる写真を撮影。日本&世界を娘とふたりで旅しながら写真を撮って暮らしている。美しい日常の瞬間を切り取った透明感のある写真は、国内外問わず、多くのファンを魅了している。
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