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敏感な肌をいたわるカレンデュラの浸出油とバーム|二十四節気 暦のレシピ 第21話 立春

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2月4日から2月18日までは立春(りっしゅん)。今回は、カレンデュラの浸出油とバームのつくり方をご紹介します。

制作・文:猪飼牧子 撮影:清水美由紀

2月4日より二十四節気は始まりの節、立春となりました。

本格的な春へと進んでいくこの時季は気温の変動も激しく、体調を崩したり、アレルギーを発症したりしがちです。私も花粉症をもっていますが、くしゃみや鼻水といった一般的なアレルギー症状に加え、肌荒れにも悩まされます。冬に比べて増えてくる紫外線の影響などもあり、肌も敏感になりがち。そんなときいつも助けられているのはカレンデュラの花弁からつくる浸出油とバームです。

 

ハーブの成分を効率的に取り込める浸出油

ハーブを植物油に漬け込み、ハーブの中の脂溶性成分(油に溶けやすい成分)を植物油に溶け出させたものをハーブ浸出油、またはインフューズドオイルといいます。

ハーブ浸出油に向いているハーブは、セントジョーンズワート、ラベンダー、ジャーマンカモミール、ローズマリーなどさまざまです。そのなかでも、敏感肌や荒れた肌の修復に向いているのがカレンデュラです。

カレンデュラの花弁の中には肌の再生を助けたり、保護したりするといわれる成分が入っています。その成分は油に溶けやすい成分のため、植物油にハーブを漬け込むと、効率的にその成分を溶けださせることができます。

 

浸出油がより身近に使える軟膏、バーム

 浸出油は肌荒れが気になる箇所に直接塗りこんだり、ボディマッサージなどに使えます。バームは有効成分が皮膚表面にとどまり、ゆっくりと浸透していきます。また、気になる個所を油膜で覆うことで水分から保護する働きもあります。

今回は、この季節の敏感な肌をいたわるカレンデュラの浸出油とバームのつくり方をご紹介します。

 

カレンデュラの浸出油のつくり方

材料(でき上がり70〜80ml)

写真左から
マカデミアナッツオイル・・・90ml
小麦胚芽オイル・・・10ml(全体の10%程度)
ドライカレンデュラ・・・2〜3g
そのほか、煮沸した透明ガラス瓶、保存用遮光ガラス瓶(容量130〜150ml程度)を用意します。

1.煮沸した透明ガラス瓶に、ドライカレンデュラを入れる。

2.マカデミアナッツオイルと小麦胚芽オイルを1のガラス瓶に注ぎ入れる。ハーブが全部浸かるようにする。成分がよく出るように1日1回瓶を振り、日当たりの良い場所で2〜3週間置いておく。

3.浸出油ができ上がったら、ガーゼなどでハーブを濾す。

4.煮沸済みの保存用遮光ガラス瓶に入れて保存する。 ※さらに成分を濃くしたい場合は、でき上った浸出油にもう一度同じ工程でドライカレンデュラを漬け込む方法もあります。またでき上がった浸出油は冷暗所で保管し、3か月くらいで使い切るようにしましょう。

 

カレンデュラ浸出油入りバームのつくり方

バーム材料(でき上がり約25g)

写真左から
未精製ミツロウ・・・4g(未精製が肌に合わない方は、精製ミツロウを使用)
シアバター・・・2g
そのほか、カレンデュラオイル(20ml)、鍋、耐熱容器、煮沸した保存用遮光クリーム容器(容量25〜30ml)を用意します。

1.カレンデュラオイル20mlとミツロウを耐熱容器に入れて湯煎する。

2.ミツロウが溶けたらシアバターを入れ、火を止める。

3.保存用遮光クリーム容器に流し入れる。

4. 冷めて固まったらでき上がり。 冷暗所で保管し、3か月くらいで使い切るようにしましょう。使うときは清潔なヘラなどですくってください。

 

日光を使う冷浸法、湯煎する温浸法

今回、ご紹介した浸出油のつくり方は、日光の光でじわじわと成分を浸出させる方法なので冷浸法といわれます。このほか、耐熱容器に入れた植物油とハーブを湯煎して温度を上げ、一気に成分を浸出させる温浸法という方法もあります。

冷浸法、温浸法どちらが向いているかは、何の成分を取りたいかによって変わります。ラベンダー、ジャーマンカモミール、ローズマリーなどは温浸法が向いています。温浸法の場合、湯煎後冷めたらすぐに使うことができます。

一般的に成分を溶けださせたい場合、熱をかけるということはとても有効ですが、成分を変化させやすくするというデメリットもあります。取り出したい成分が熱によって変化しやすいカレンデュラやセントジョーンズワートなどは時間があるのであれば冷浸法でつくるとよいですね。

ハーブの使用量は、植物油に浸るくらい、が目安です。お手持ちの空き瓶に7分目くらいまでハーブを入れ、ハーブがしっかり浸るまで植物油を注ぎます。

 

精油をブレンドして香りを楽しむには?

浸出油もバームもお好きな精油をブレンドして使うことも可能です。その場合、つくりたい全体量に対して、体に使う場合は1%濃度、顔に使う場合は0.5%濃度で精油を入れることをおすすめします。精油1滴は0・05mlなので、全体量が10mlに対して1%濃度で精油を入れる場合2滴となります。ただし、顔の中でも敏感な唇などに使いたい場合は、精油は入れないほうが安心です。

浸出油に精油を入れたい場合、でき上がり次第いつでも入れることができますが、バームの場合はミツロウとシアバターを湯煎後、容器に入れうっすら周りが白くなってきたら精油を入れてよくかき混ぜてから固めます。

冬至からだんだんと昼の時間が伸びてくるこの頃は、日光のパワーも強くなってくるので、冷浸法の浸出油をつくる時季として、真冬よりも適していますよ。ただし、真夏は日光の光が強すぎる場合があるので、レースカーテン越しくらいが適しています。

今年の春は、肌荒れに悩まされない快適な暮らしを送れますように。

 

つくりら編集部よりお知らせ

NEROLIDOLの猪飼牧子さんとフォトグラファーの清水美由紀さんの連載、「二十四節気 暦のレシピ」は、大幅な新規取材を加えて、書籍『二十四節気 暦のレシピ』としてみなさまにお届けします。

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