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親愛なる父母へ クリスマスにはフェルトのプチケーキを贈ります。楽しかった思い出をいっぱいつめこんで。

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撮影:天野憲仁(日本文芸社) 文:水谷花楓

もうすぐクリスマス。街中が華やぐ季節です。

思い出すのは、子どもの頃に飾りつけたツリーと、家族みんなで食べたクリスマスケーキ。真っ赤ないちごを取り合いながら、夜遅くに訪れるであろうサンタクロースを心待ちにして、クリスマスの夜は更けていきました。

あれから数十年。

私たち姉弟は皆巣立ち、実家には両親二人だけ。もうツリーを飾ることも、あえてケーキを食べることもないでしょう。そんな両親にこれまでの感謝の意を込めて、今年は私がサンタクロースになった気分でプレゼントを考えています。

贈りたいのは、あの頃食べたクリスマスケーキをイメージした、ベリーショートケーキ。といっても本物ではなく、シートフェルトを使ってつくります。温かみがあって柔らかいフェルト生地は、幼い頃に親しんだ懐かしい記憶も重なって、いまの私の気持ちをあらわすのにピッタリです。

写真のケーキは、『フェルトでつくる かわいい花とスイーツ』に紹介されている、とびきりキュートな一品。フェルト作家・RUKOさんの作品です。使うフェルトは少量で、難しい技術は必要なし。切って、縫って、貼る、の作業で、本物とみまごうような愛らしいケーキができ上がります。

シートフェルトをはさみでチョキチョキ。白い土台にレースを貼ったり、いちごのビーズを縫いつけたり。トッピングのいちごはうまくできたら、もう一個つくっちゃおうかな・・・。包みを開けた瞬間の父と母の顔を思い浮かべながら、ひとりにんまり。ちょっぴり照れくさいけれど、思い切って手書きのメッセージカードも添えてみるつもり。

子どもが生まれ、新しい家族ができても、両親にとっては、私はいつまでも“ちいさな子ども” 。若かった両親と幼かった私たち姉弟の、にぎやかなクリスマス――ちいさなフェルトのケーキに込めて贈りたかったのは、そんなかけがえのない思い出だったのかもしれません。

写真は『フェルトでつくる かわいい花とスイーツ』より。

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