更新日: 2020/04/02
シルバさんの作るパンは、やわらかいパンやかたいパン、コクあり、あっさりとその特徴はさまざま。チャバッタやフォカッチャなど、イタリア料理でおなじみのものから赤ワインやビール入りのパンなど、全部で9 種類のレシピを著書『ジャムとパンのオリジナルレシピ』で紹介しています。今回は、基本の材料と9 種類のパンの特徴を紹介します。お好みのジャムとパンの相性を探してみてください。
文:ロシャン・シルバ、つくりら編集部 撮影:清水美由紀
<基本の材料>
a. 強力粉
パン作りにはたんぱく質を多く含む強力粉を使う。小麦粉は水を加えてこねるとたんぱく質と水が結びつき、粘り気と弾力があるグルテンに変化する。このグルテンがイーストにより作り出された気泡(炭酸ガス)を生地内にとどめてくれるので、ふっくらとしたパンができる。
b. 塩
パンの味をととのえるほか、生地を引き締める効果もある。小麦粉によくなじむよう粒子が細かく、さらさらした塩を選ぶとよい。しっとりした塩は粉類と均一に混ざらないので不向き。
c. 砂糖
甘みをつけるほか、イーストの発酵を促す、焼き色を濃くするなどの役割がある。グラニュー糖でも上白糖でもよいが、上白糖を使うと焼き上がりがしっとりし、かたくなりにくい。この本では上白糖を使用。
d. 黒砂糖
サトウキビの絞り汁をそのまま煮詰めた砂糖で、褐色で香ばしい香りがする。製造工程で不純物を取り除かないので豊富なミネラルを含み、独特のうまみがある。この本では赤ワインのパン(p.62)に使用。
e. ドライイースト
菌類に属する生き物で、発酵してパン生地をふくらませる。生イーストとドライイースト、インスタントドライイーストの3種類がある。この本では予備発酵の要らないインスタントドライイーストを使用。
f. オリーブオイル
パン作りにはバターやショートニングを使うことが多いが、イタリアのパンでは、オリーブオイルもよく使われる。この本では、フォカッチャ( p.54 )とドゥーロ(p.58)に使用。
g. 赤ワイン
水と一緒にアルコールを生地に練り込むと、そのお酒の持つ風味が感じられるパンに。アルコールも十分飛ぶので、子どもでも安心して食べられる。赤ワインのパン(p.62)で使用。ワインのほか、ビールを使ったビールパン(p.64)も。
水
普通の水道水でOK。水には軟水と硬水があるが、パン作りには硬度100mg/ℓの、やや硬度の高い水が適している。日本の水はやや軟水だが、問題なく作れる。市販のミネラルウォーターを使う場合はやや硬水を。硬度が高すぎるものや低すぎるものは避けて。
<この本で紹介するパンの特徴>
パンの特徴を「やわらか」「かたい」「コクあり」「あっさり」の4 つで分類。どんなジャムや料理と合わせるかはお好みで。
Instagram:@tsukurira0714
【書誌情報】
『La vie a la Campagne ジャムとパンのオリジナルレシピ』
ロシャン・シルバ著
中目黒にあるカフェ「La vie a la Campagne」(ラ・ヴィア・ラ・カンパーニュ)。芸能人もお忍びで通う、知る人ぞ知るおしゃれな隠れ家カフェ。店頭で販売しているジャムは密かな人気の逸品。本書では、オーナーのロシャン・シルバさんオリジナルのジャムレシピを掲載。どうしても余りやすいジャムを調味料として使用するアイデアレシピや、ジャムとの相性が抜群なパンやデザートのレシピも紹介します。
ロシャン・シルバ
イタリア生まれ。スイスの高校で建築を学び、イタリアの大学で経営学を専攻。大学卒業後にテキスタイルメーカーに入社し、その後、独立。仕事を通じ多くの日本の人々とつながりができ、日本へ移住。鎌倉の古民家に出会い、最初のカフェ「La maison ancienne」を開く。以後、日本各地にカフェを併設したライフスタイルショップをオープン。アパレルブランドの「THE FACTORY」、雑貨ブランドの「Ambiente」も立ち上げ、自らデザインする。店舗の設計も多数手がける。衣食住まるごとデザインする天性のセンスに国内外問わず多くのファンを持つ。