更新日: 2019/10/07
撮影;masaco 文:つくりら編集部
「stumpwork」(スタンプワーク)と呼ばれる立体的な刺繍を知っていますか?15世紀頃、ヨーロッパの聖職者の服装から始まり、17世紀半ばにイギリスで大流行した刺繍です。当時、教育の一環として手刺繍をたしなんでいた上流階級の子女にとって、この立体刺繍は刺繍の総仕上げ。何年もかけて手の込んだ小箱をつくったといわれています。
▲アトリエFilさん作。『花々と小物であやなす立体刺繡』の表紙カバーの写真より。
ライオンや鹿、鳥や蝶、フルーツや花々など、さまざまなモチーフで飾られた当時の小箱は、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館に収蔵され、今なお、私たちの目を楽しませてくれています。
17世紀のイギリスで花開いた手刺繍の小箱。その端麗な手工芸の歴史を受け継ぎ、オリジナリティーあふれる可憐な花々として現代に甦らせたのが、アトリエFilさんの立体刺繍です。
▲アトリエFilさん作の「とりどりのバラ」。『花々と小物であやなす立体刺繡』掲載作品。
2017年に出版されたアトリエFilさんの著書『立体刺繡で織りなす、美しい花々とアクセサリー』には、本物とみまごうばかり、もとい、本物以上に本質をとらえた花々がちりばめられていました。そして2年の歳月を経て、今秋ついに待望の第2弾、『花々と小物であやなす立体刺繡』が上梓されました。
その掲載作品を中心に展示する作品展が、10月15日から始まる「刺しゅう作品展 Flowers」です。バラ好きを魅了してやまない「ルドゥーテのバラ」や、すずらん、ライラック、わすれなぐさといった、乙女心をくすぐる小さな花も展示されるそう。
▲アトリエFilさん作「ライラック」。『花々と小物であやなす立体刺繡』掲載作品。
あたかも画集を眺めるかのごとく、何度も何度もページをめくっては、その美しさに酔いしれたアトリエFilさんの立体刺繍。その作品そのものをこの目で観ることができるなんて! 高鳴る胸を、はやる気持ちを抑えることができません。
会期中は会場にて材料やキットの販売もあるそう。これを機会に私も立体刺繍を・・・。そう思っている方も、美しい立体刺繍の作品に触発されてモチベーションがぐーんとあがりそうです。
▲アトリエFilさん作。『花々と小物であやなす立体刺繡』の表紙カバー裏の写真より。
「刺しゅう作品展 Flowers」
期間:2019.10.15(Tue)−10.20(Sun)
開催時間:11:00-19:00(最終日〜17:00)
場所: サロン ド フルール
〒107-0062 東京都港区南青山5-7-25 ラ・フルール南青山1F
東京メトロ銀座線、千代田線、半蔵門線・表参道駅(B3出口)より徒歩3分
http://gallery-salondefleur.jp/fleur/map.html
展示の詳細はアトリエFilさんのホームページにて。
https://www.atelier-fil.com/
アトリエFil
清 弘子、安井しづえによるユニット。長年フランス刺繍を学んだ後、2004年にアトリエFilとして活動をスタートする。刺繍した花を立体的に仕立てるオリジナルの手法が人気。教室やカルチャーセンター等で立体刺繍のレッスンを行いながら、NHK「すてきにハンドメイド」をはじめ、さまざまなメディアや展示会で作品を発表している。『立体刺繡で織りなす、美しい花々とアクセサリー』、『花々と小物であやなす立体刺繡』(ともに日本文芸社)、『刺繍のステッチと基本』、『花の立体刺しゅう』(ともにブティック社)、『スタンプワークでパリのお菓子』(主婦の友社)ほか著書多数。
ホームページ:https://www.atelier-fil.com/