更新日: 2019/09/30
写真協力:戸田亜由美(fabrica uka) 文:つくりら編集部
いつの頃からか、肩の力を抜いて、自然体でさらりと持てるバッグや洋服が好きになりました。そのきっかけは何だったかな、と記憶をたどると、fabirica ukaこと、戸田亜由美さんの作品に巡り会ったのが始まりだったように思います。
彼女のバッグに出会ったのは数年前。日常の風景を絶妙なバランスでグラフィックに落とし込んだモチーフ。これがすべて戸田さん自身がデザインし、シルクスクリーンで1枚ずつプリントしていると知ったときの驚き。求めていたのはこんなバッグ!と確信したときの高揚感。
以来、作品展のお知らせが届くたびにいそいそと出かけ、新作バッグをせしめてほくほく・・・という、あさましいコレクター、いや、善良な顧客となっています。デザイン性もさることながら、縫製からバッグの仕立て、アクセントで施された刺繍にいたるまで、その手仕事の正確で美しいところがたまりません。
そんな戸田さんの新作がおめみえする作品展、「雲の切れ間から fabrica uka solo exhibition」が、10月2日から東京・根津のギャラリー、「汐花 SEKKA BORDERLESS SPACE」で始まります。ひとりじめばかりしていないで(笑)、つくりらを読んでくださるみなさまにもご紹介しなれば・・・ということで、今回の作品展の見どころについて戸田さんに伺いました。
「リネンとウールは相性が良い」と戸田さんは言います。常日頃から自身のコーディネートでも多用している組み合わせなのだそう。
「日本では“リネン=麻”、“麻=夏”のイメージが強く、“ウール=冬”との相性の良さもあって、リネンとウールの組み合わせがあまりピンとこない方が多い印象があります。私はこれまでの展示やポップアップの場でそのことをお客様に言葉でお伝えしてきたつもりですが、言葉よりも作品で、という思いでつくりました」
リネンとウールはともに天然素材で、あるときは空気を内包し、あるときは風を通すという二面性があるところも似ているのだそう。
「そんな2つが組み合わさった時に生まれる優しい空気感やテクスチャーの奥行きを体感していただきたいと思います。そしてこれからの季節、ハードでダークな装いのアクセントになるような、オリジナルデザインのハンドプリントとニードルワーク(刺繍)を楽しんでいただきたいと思っています」
今回の作品展は、バッグだけでなく、洋服も並びます。戸田さんの生地を使って洋服をつくってくれたのが、遊び心のあるデザインで人気の大阪のアトリエ、osampoさんです。
「osampoさんには、私がハンドプリントしたリネンを何も言わずそのままお渡しして、その生地からデザインイメージを膨らませてつくっていただきました。何度かお仕事でご一緒したときに彼女の作品に対する、私のつぶやき程度の言葉や反応を覚えていてくれて、今回の作品に反映していただきました」
ほぼお任せでつくってもらったという洋服は、戸田さんの想像をはるかに超えた、楽しい仕上がりになったそう。秋一番のおしゃれのテーマは「fabrica ukaのテキスタイルをまとう」で決まりかな。
ATELIER YAUYAU さんとのコラボは、「しずくバッグ」というシリーズで、今年7月の二人展から始まったそう。
ストールやテーブルクロスとして使えるリネン生地に、YAUYAUさんの革の持ち手を合わせると、しずく形のバッグに早変わり。
「持ち手の両端にあるコキカン金具に布を通すことで、布がバッグに変身します。それぞれで自立しているものを組み合わせたコラボなので、さままざな使い方で楽しんでいただきたいです」
作品を制作するなかで必ず出てしまうのが、端切れ。「ベースの布からこだわって探し、1枚1枚手作業で刷った布は、端切れでも名残惜しくて、おいそれと処分できなかった」と戸田さん。今回の展示会では、この端切れを使ったサシェが、ノベルティアイテムとして登場します。
「日頃、バッグの内ポケットやクローゼットの引き出しの中に忍ばせているサシェがあります。爽やかで落ち着く香りです。出先で疲れたとき、今日は何着ようと引き出しを開けたときに、ふわっと香ってリフレッシュできます。皆様にもその一瞬のお裾分けを私の布とともにできたらと思っています」
サシェはさまざまな柄で用意。展示期間中、会場で10,000円以上お買い上げのお客様に、おひとり様1つずつ、お渡しするそう。数量限定。
見どころいっぱいの作品展。7月の作品展でゲットした、まあるいフォルムのバッグをただいま愛用中なのですが、季節が変われば、また欲しい。リネンとウールの優しい空気感をさっそく体感しなくては!
「雲の切れ間から」fabrica uka solo exhibition
期間:2019.10.2(Wed)-10.14(Mon) ※10.7休廊
開催時間:11:30-18:30(最終日〜17:00)
場所: 汐花 SEKKA BORDERLESS SPACE
〒113-0031 東京都文京区根津2-24-3
http://www.sekka-jp.com/
東京メトロ千代田線・根津駅(1番出口)より徒歩4分
※作家在廊スケジュールは以下のSNSにて案内
https://www.instagram.com/fabrica_uka/
https://www.facebook.com/fabricauka
fabrica uka (ファブリカ・ウカ 戸田亜由美)
2000年よりデザインワークをスタートし、空間、グラフィックデザイン、雑誌・書籍等の挿絵イラスト制作。2012年 fabrica ukaとしてクラフトワークをスタート。自然や日常をモチーフにした手刷りのシルクスクリーンと手刺繍を組み合せたリネンワークでバッグやアクセサリー小物を制作。2016年、オリジナルテキスタイルブランド「tayutou タユトウ」を株式会社KOKKAより発売。
ホームページ:http://fabricauka.jp/
インスタグラム:@fabrica_uka