更新日: 2019/07/05
フォトグラファー、清水美由紀さんの南仏旅行記。前編ではニースの美しい街並や花市場、青く澄み切った海を紹介してくれました。後編では清水さんの友人、エヴァさんのおしゃれなインテリアのお話です。
撮影・文:清水美由紀
そもそもニースを訪れることにした理由は、友人のエヴァを訪ねるため。エヴァのおうちに滞在させてもらって、一般的なフランス家庭を体験するうれしい機会になりました。
料理人のエヴァは、フォトグラファーのご主人と、キュートなふたりの男の子と、アパルトマンに暮らしています。
▲自身が働くレストラン&食材店で、夕食の材料を購入するエヴァ。
エヴァの家は、どこを切り取ってもおしゃれな室内!その場しのぎのものなんてなくて、置かれたすべてのものにストーリーがあって、全てのものに愛情が注がれているのがわかります。
▲この黄色いお花は、前日エヴァが案内してくれた秘密の海岸で摘んでいたもの。
▲リビング。左に見えるのがレコード。
夜ごはんの時間には、レコードの針が落とされ、落ち着いた音楽が流れます。ちなみに夜ごはんは6時くらいからつくり始め、ワインやシャンパーニュ片手にお話をしながら野菜を準備したり、鶏一羽をオーブンに入れ、でき上がりは8時。
子ども達がアンティークのお皿やカトラリーを並べ、ナプキンを折りお皿の上へ。でき上がった料理がテーブルの上に運ばれたら、子どもも含めておしゃべりしながらゆったりと料理を楽しむ時間に。この時間の過ごし方が日本とは違っていて、とっても豊かだなあと感じました。
▲家族で囲む夜ごはんのテーブル。丸鶏と野菜のグリル、サラダ。
一般的なフランスの家庭の朝ごはんは、バゲットにバターとコンフィチュール。それからカフェオレだそう。こんな日常の風景も素敵でした。ちなみにアンティークのお皿を使っているのは、古いものを大切にしたいという気持ちからだそう。日本でも、古いものを再利用しようという動きが広まっていますが、そんな感覚なのでしょうか。
▲バゲットはこの形に切り分けるのが一般的なのだそう。確かにこの食べ方だとバリバリ感とモチモチ感を最大限に味わえる気がする。
▲光が降り注ぐ、白いキッチン。
▲慌ただしくなりがちな朝も、どこか静か。
今回の旅で考えさせられたのは、美しいものってなんだろう、ということ。世の中にはいろんな美しさがあります。繊細な美しさ、豪華な美しさ、シンプルな美しさ、ジャンクな美しさ、新しい美しさに古い美しさ。どの美しさもいい悪いはない。
清濁は入り混じり調和する。きっと、そこにあるのは大切にしたい価値観と、美しいと感じる心。すべてのものは移り変わっていく。儚いからこそ美しいと感じるのでしょう。見渡す限り美しいフランスの街並みを見ながら、毎瞬を美しいと私が感じたのは、そこで過ごす一瞬一瞬を尊いと思っていたからなのでしょうか。目の前にある”今”に心を注いで思いっ切り楽しむ。そんな自分らしい豊かな時間を過ごすことが美しさにつながるのかもしれません。
清水美由紀
フォトグラファー。生活を感じる旅、暮らしのあれこれ、健やかな食&住が興味の対象。雑誌やWebなどで「LIFE(生活、暮らし、人生)」にまつわる写真を撮影。日本&世界を娘とふたりで旅しながら写真を撮って暮らしている。美しい日常の瞬間を切り取った透明感のある写真は、国内外問わず、多くのファンを魅了している。
ホームページ:https://miyukishimizu.format.com/
インスタグラム:@uriphoto
パリ取材・第1話|手芸を愛する人々が集う「Aiguille en Fete(レギュイユ・オン・フェット、針の祭典)は、日常会えない、見えないものに出会える場所
パリ取材・第2話|フランスの手芸愛好家も「素晴らしい!」と大絶賛!メイド・イン・ジャパンのリュネビル刺繍枠と京都の絹糸
パリ取材・第3話|豊かな色彩に心ときめく手芸空間。店主のこだわりが貫かれたパリのメルスリーで、センスと美意識を磨く。
パリ取材・第4話|「パリ」という鏡を覗き込んだら、日本の素晴らしさも見えてきた。「日本の伝統」×「パリのセンス」で生まれるものはきっとある。
パリ取材・第5話|全部連れて帰りたくなる!パリ歩きで出会ったアンティークやブロカント雑貨にときめきが止まらない。
南仏ニースの旅紀行(前編)|サレヤ広場の花市場に並んだ花々は、カラフルなのにキュートすぎない。大人な雰囲気にきゅん!