更新日: 2019/05/31
つくりら主催、中野晴代さんのフォト&スタイリングのワークショップ、前編では、会場の様子と晴代さんのレクチャー、そしてガトーママンの焼き菓子を主役したフォト&スタイリングの実践と完成写真をご紹介しました。後編では、異なる被写体のフォト&スタイリングが登場します。
撮影:奥 陽子(ルポ撮影)、中野晴代(スタイリング完成写真) 取材・文:つくりら編集部 装花:星 純子(&f) 協力:foglinenwork
東京・下北沢のfogさんをお借りして開催した、中野晴代さんのフォト&スタイリングのワークショップ、当日はお天気もよく、自然光を生かした実践にはもってこいの撮影びより。
fogさんの空間は、南西に大きな窓が4つ。その両サイドは白い壁です。前編で紹介したガトーママンさんの焼き菓子の写真は、壁際にテーブルをつけて撮影しました。
この撮り方は、窓から入る光、つまり被写体のサイドから当たる光、「サイド光」で撮影したパターンです。「サイド光で撮ると、質感がわかりやすいです」と晴代さん。それでは、と、光の入り方が異なる場所での実践が始まりました。今度の撮影場所は窓側のテーブル。被写体の後方から光があたる「逆光(ぎゃっこう)」のパターンです。
「逆光で撮った場合は、ふわっと、光をまとったような雰囲気になります」。上の写真のように光の正面後方ではなく、被写体に対して斜め後方から光が当たっているパターンは、「ななめ逆光」や「半逆光(はんぎゃっこう)」などと呼ばれています。
この位置で撮影したお花の写真です。背景がふわっと明るくなり、とてもやわらかな雰囲気になっていることがわかります。左の写真はビバーナム・スノーボールの花にピンがきて、まわりをぼかしているので、花だけが浮かび上がり、幻想的です。
▲中野晴代さん撮影。
みなさんも同じ場所から撮影。光の入り方を確認します。
次は、撮影場所を反対側の壁に移動して、ティータイムにいただくガトーママンさんのケーキを撮影。fogさんのシンプルな白い食器を使います。小さなお皿と大きなお皿、さてどっちがいいんでしょう?
「お皿は大きめを使います。リム(皿の縁が一段高くなっている縁の部分)の中にケーキがすっぽり入るくらいの大きさのお皿だと美しく見えます」
スタイリング小道具として選んだのは、ブルーベリーの実、おしゃれなティーバッグのパッケージ、そしてfogさんからお借りしたジャムです。
「真俯瞰で撮影する場合、ジャムは寝かせてラベルを見せます。このときジャムが動かないようにするため、ジャムの下側に“練り消し”をつけてテーブルに固定します」
「練り消し」とは、練り消しゴムのこと。柔らかくて自由に形を変えながら使う粘土のような消しゴムで、主にデッサンやスケッチを仕上げるときに使うものなのですが、物撮りの現場ではマストともいえる、フォトグラファーご用達アイテムでもあるのです。
椅子に乗って、真上から撮影します。
こんなふうに撮影されました。
参加者のみなさんも俯瞰撮影に挑戦します。
今度は同じ場所で被写体を雑貨やパッケージに変えて撮影。「見せたいものが真ん中にあるか、が大事です。ものの面(つら)を合わせたり、並行に気をつけて撮影します」
主役はYAMABATOのコーヒーパッケージ。ティーバッグとジャムを傾けて動きをつけて。下の2枚はどちらも晴代さんの撮影したもの。下の写真は補正前の「撮って出し」、その下が補正後です。
▲中野晴代さん撮影。補正前。
▲中野晴代さん撮影。補正後。「Lightroomでハイライトを抑えて、明瞭度をプラス、ゆがみを補正しています」
ワークショップも終盤を迎え、ガトーママンさんのレモンケーキをいただきながらのティータイムです。テーブルを一列に配置替え。ずらりとケーキが並んだ風景も、またまたフォトジェニック!
セッティング完了!
ティータイムといいながらも、格好の被写体を前に、みなさん撮影する手がとまりません。
晴代さんが撮影したのは、こちらのショット。下の写真は補正前の「撮って出し」、その下が補正後です。
▲中野晴代さん撮影。補正前。
▲中野晴代さん撮影。補正後。「ハイライトを抑えて全体的に彩度を落としています。明瞭度を上げてパキッとさせて、最後に歪みを角度を補正しています」
レモンケーキを美味しくいただきながら、カメラアプリやインスタグラムの話にみなさん熱心に聞き入ります。
「インスタグラムに写真をあげるときは、並んだときのトンマナ(トーンやマナー)に注意します。「UNUM」というアプリを使うと、インスタグラムに投稿後のレイアウトを事前に確認できます」
帰り際には、撮影にも登場したガトーママンさんの焼き菓子をお土産に。晴代さんから1つずつ手渡しして、みなさんをお見送り。ご参加いただきましたみなさん、本当にありがとうございました!
中野晴代
グラフィックデザイナーでフォトグラファー、住宅施工会社のマーケティング・ディレクターとマルチに活躍しながらも、家庭では二児の母。類いまれなおしゃれなセンスが高感度の女性たちの心をつかみ、インスタグラムでは6.6万人以上のフォロワーを持つ。2019年6月には共著『インスタグラム商品写真の撮り方ガイド』を発売予定。
インスタグラム:@haruyonakano/
foglinenwork
シンプルなデザインのキッチンリネンやベットリネン、ウエアなど日々の暮らしに寄り添うリネンアイテムを制作・販売するライフスタイルショップ。世界各地から集めたアクセサリーやインテリア雑貨も。
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