つくりら主催ワークショップ開催レポート(前編)|中野晴代さんのフォト&スタイリング。被写体の主役はガトーママンさんの焼き菓子!

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つくりら主催ワークショップ開催レポート(前編)|中野晴代さんのフォト&スタイリング。被写体の主役はガトーママンさんの焼き菓子!

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つくりらの好評連載「晴代さんのシンプル生活のつくり方。」でおなじみの人気フォトグラファー、中野晴代さん。去る5月20日、東京・下北沢のfogさんの会場をお借りして、晴代さんのフォト&スタイリングのワークショップを開催しました。ミニレクチャーからおすすめアプリの紹介まで、目からウロコのテクニックがぎっしりつまった晴代さんのレッスン、その様子を前編後編、2回にわたってレポートします。

撮影:奥 陽子(ルポ撮影)、中野晴代(スタイリング完成写真)  取材・文:つくりら編集部  装花:星 純子(&f) 協力:foglinenwork

フォトグラファーの中野晴代さんは、インスタグラムで6.6万人以上のフォロワーを持つ人気インスタグラマー。6月に発売される共著『インスタグラム商品写真の撮り方ガイド』は、発売前にも関わらず、アマゾンの売れ筋ランキング・SNS入門書部門でなんと堂々の一位に! まさに今、SNS界でいちばん熱い“時の人”なのです。


▲レッスン前、1階のfogさんのショップでスタイリング小道具を吟味。

共著の発売を目前に控えた5月中旬。つくりら主催のワークショップは、共著でも紹介しているというテクニックをひと足先にレクチャーしてもらえる嬉しい機会となりました。

 

自然光の空間に花と小道具。撮影準備は万端!

フォトレッスンは、なんといっても撮影場所が大切。今回、お借りしたfogさんの2階は、大きな窓から自然光がたっぷり入り、白い壁も被写体の背景として申し分ありません。アンティークのテーブルの風合いもテーブルフォトには嬉しい限り。

撮影に使う小道具は晴代さんの愛用品。つくりらの連載でも登場した「アスティエ・ド・ヴィラット」のプレートや、毎日使っているというオノエコウタさんのカップも。晴代コレクションが直に見られてシアワセ!

テーブルフォトをさらに素敵にしてくれる名脇役といえば、やっぱりお花。晴代さんからの事前リクエストは、白っぽいもの、実のついたもの、ユーカリなどの葉ものでした。その要望にしっかり応えてくれたのが、「&f」(アンドエフ)のフロ―リスト星純子さんです。

枝ものはバイカウツギ、小さなアジサイのような花はビバーナム・スノーボールです。実ものして調達されたのは、なんとも可愛いブルーベリー。「白いもの」のリクエストには、クリスマスローズ、クレマチス、スプレーバラのブルーアイス、アジサイ、穂状の花を咲かせるリョウブと、なんともバリエーション豊か。

会場装花にと用意してくれたのが、5月が旬のピンクのシャクヤク、サラベルナールです。リョウブと一緒にガラスの花器に。会場が一気に華やぎました。

そして、今回、忘れてはならないのが、なんといってもガトーママンさんのお菓子。会場にはみなさんのお土産用のわっぱ入りの焼き菓子が積み上がっています。

 

フォト&スタイリングのコツがつまった「秘伝書」

晴代さんのフォトレッスンは、インスタグラムやツイッターなど、SNSで素敵な写真をアップしたい方におすすめの内容です。「カメラでも、スマホでも、大切なのは、光の当て方やものの並べ方。それができるようになれば、こなれた写真が撮れるようになります」と晴代さん。

晴代さんのインスタグラムには、美味しそうなお菓子、おしゃれなパッケージなどが並んでいて、まさに「テーブルフォト」のエキスパートという感じですが、写真を始めた理由は、なんとワンちゃんを可愛く撮りたかったからなのだそう。「当時、子どもが小さくて、なかなか外に出かけられなかったので、必然的に家のなかで撮れるものを探すようになりました」。そんなこんなで、次第に家で撮れるもの=テーブルフォトを始めるようになったとお話ししてくれました。子育て中にできることから始めたーそんな身近なエピソードに緊張気味だったみなさんの表情も緩みます。

レクチャーでは、晴代さんがポイントをまとめたカード仕立てのレジュメが配られました。晴代さんのフォト&スタイリングのコツがぎゅっとつまった、まさに永久保存版級の秘伝書!そこには、「何を伝えたいかを考える」、「自然光で撮る」など、いくつかのポイントが書かれていたのですが、なるほどと思ったのが、「水平、垂直を合わせる」こと。「水平垂直がきちんとしていると、こなれ感のある写真になります。ここがずれてしまうと、不安定な印象を与えてしまいます」。ああ、残念な写真を撮ってしまっていたのはこのせいかも。心当たりアルアルです。

 

背景におすすめなのはクッションフロア

あると便利なアイテムとして紹介してくれたのが、被写体の背景として使える「クッションフロア」。「写真を撮るときの背景として何枚か揃えておくと便利です。背景はすごく大事で、写真がランクアップします。撮っているテーブルがイケてないと、イケていない写真になってしまいます」。このクッションフロア、大きすぎるため会場への持参は断念したものの、“秘伝書”では、撮影風景の写真とともにしっかり紹介。

「モルタル調、大理石っぽいものがおすすめです。最初は柄がついていないものや白っぽいものがいいかもしれません。個人的には黒背景も好きですが、黒背景の写真はインスタにアップすると、いいねの数が少ないですね(笑)」

みなさんメモを取りながら、熱心に聞き入っています。その後の質問コーナーでは、「夕食を撮りたいのですが、どうすればいいですか?」と、さっそく手があがりました。

「写真は基本的には自然光で撮ったほうがいいですね。夕食をきれいに撮りたかったら、夕食時に撮るのではなくて、早めにつくって撮影するといいと思います」と晴代さん。なるほど、先手必勝ということですね。

 

ガトーママンさんの焼き菓子を主役に

レクチャーが終わり、いよいよ実践です。まずは晴代さんがテーブルにスタイリングを始めます。被写体の主役は、もちろんガトーママンさんの焼き菓子!

スタイリングに使用したお皿は、晴代さんお気に入り、「アスティエ・ド・ヴィラット」。「この器を使うと、イチゴ1つ置いても芸術作品のようになります」。焼き菓子は「プラリネチョコサンド」(左上)、「メレンゲ」(右上)、そして、蝶々の形の「フレーズチョコサンド」です。

テーブルに直にスタイリングを始めてみましたが、最終的にはリネンを敷くことに。「今回の被写体には、このテーブルの色合いがちょっと強いようです。木のテーブルは撮影すると黄色っぽくなってしまうことがあります。黄色の色が目立つと全体的に黄色くなってしまい、補正の段階でちょっと赤みをプラスしたりと、少々時間がかかります」。背景に対する晴代さんのこだわりと美意識が伝わってくるひと幕でした。

まずカメラを構えて、全体の構図をチェックします。「スタイリングするときは、小道具に背の高いものを加えてみたりします。実ものがあると、間を埋めやすいですね。スマホの場合は、真上から撮影する“真俯瞰(まふかん)”でもいいかもしれません」

今度はスマホで。レンズが2つ搭載されたデュアルカメラで使えるアプリ「Focos」を起動中。「このアプリを使えば、ピントの位置を後から変えたり、背景のボケ具合を調整したりできます」。マジックのような操作に会場からは驚きの声が。

みなさんも思い思いの位置からカメラを構えます。

 

インスタに使える!玉ボケテクニック

インスタグラムに使える小ワザとして、晴代さんが教えてくれたのが「玉ボケ」。「よくお菓子などの写真で背景がキラキラしているのってありますよね。これはクリスマスツリーなどに使う電飾を使うとつくれるんですよ」。方法は被写体の後ろのほうに電飾を置くだけ。簡単にトライできそうです。

 

写真はアプリで補正して完成させる

一度スタイリングをしたシーンは、何回か撮影を繰り返しながら、小物の位置などを微調整していきます。「これは時間がかかるし、地味な作業ですね」。被写体をどう撮影するかがクライマックスと思いきや、晴代さんの力の入れどころはなんと撮影後。「写真は補正して仕上げます。じつは仕上げの作業が一番好きなんです」。晴代さんが補正によく使っているのは「Lightroom(ライトルーム)」というアプリ。「Lightroomは、プロのフォトグラファーが使う代表的な補正アプリ。補正はほとんどこのアプリで行っています。色ごとの細かい補正ができるので便利です」

ワークショップ後、「撮って出し」と呼ばれる補正前の写真と補正後の写真を送ってもらいました。


▲中野晴代さん撮影。

上の写真、左側が補正前、右側が補正後です。「Lightroomを使って、ハイライトを抑えて、色温度を低く(青く)しています。また、全体的に彩度を低くして、シャープをかけて、ゆがみを補正、最後にphotoshopでシワを消しています」

見比べると、リネンのシワがきれいに消えています!「ワークショップでは、シワを消す際に『snapseed』というアプリを紹介したのですが、パソコン版のphotoshopの使い勝手がいいため、この補正ではphotoshopを使っています」

同じ焼き菓子をスタイリング小物なしで、アンティークのテーブルの上でシンプルに撮影し、同じく補正を施したのがこちらの写真です。


▲中野晴代さん撮影。

後編では、異なる被写体のフォト&スタイリングをご紹介しています。こちらもどうぞ。

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