更新日: 2018/09/26
写真協力:gochisou 文:つくりら編集部
「食」をテーマにデザインするテキスタイルブランド、gochisouを手がけるデザイナー、坂本あこさん。人気ベーカリーとのコラボレーションでも話題になったパンシリーズに続き、和食をテーマにした第一弾「うつわ」シリーズを発表。その新作発表会が東京・渋谷ヒカリエで開催中です。
▲渋谷の展示会に先立ち、あこさんの地元、愛媛県松山市のギャラリー「ムスタキビ (@mustakivi.jp) で行われた展示風景。奥行きのある空間を活かし、多色刷りの工程が見えるようインスタレーションで表現。
「和食器をテーマに構想を練っています」。今年の春先にそんなお話を伺ってから、いったいどんな布ができるのだろうと、ずっと心待ちにしていた新シリーズ。あこさんが題材として選んだのは「民藝の器」。
こちらは「小鹿田焼」をモチーフにしたテキスタイル。右下にあるのが小鹿田焼のお皿です。
「丹波立杭焼」をモチーフにしたテキスタイル。丹波立杭焼のお皿とカップと一緒に。
「それぞれの産地へ直接足を運び、陶工の方にもお話を伺いました。 実際に訪れて、今も変わらない手仕事の器の産地、新しい技術と融合して今も進み続ける産地、各地を実際に見聞して知ることで、とても感銘をうけました」とあこさん。
「小鹿田焼」(おんたやき)の産地は大分県日田市。山間部の集落にその地はあり、14軒のうちなんと10軒が窯元。 飛びかんなが最大の特徴で、他にも打ちかけ、刷毛目、指描きなど、独特の技法で作陶する窯元です。2017年の豪雨被害で陶土をつくる唐臼(からうす)も壊滅状態でしたが、一年かけて復活しつつあるそう。
▲小鹿田焼の窯元の風景。gochisouのインスタグラム(www.instagram.com/_gochisou/)より転載。
「丹波立杭焼」(たんばたちくいやき)は、兵庫県篠山市。「灰被り(はいかぶり)」と呼ばれる、白と黒の魅力的な色や模様が一品ずつ異なって表れるのが丹波焼の大きな特徴です。
「白と黒の釉薬が美しく、奥田康博さんが研究を重ねた黒は深く、奥田黒と呼ばれるほどです。生田和孝さんは丹波立杭焼にしのぎや面取りといった技法を取り入れた職人さん。その直系の弟子である清水俊彦(俊彦窯)さんにお話を伺いました」
▲丹波立杭焼の窯元の風景。gochisouのインスタグラム(www.instagram.com/_gochisou/)より転載。
gochisouの布は、一色一色、丁寧に色をつける昔ながらの染色技法、「手捺染」(てなっせん)にこだわって制作。「手仕事の器は、gochisou のつくりだすテキスタイルと通づるものもあり、後継者が少なくなってきている中、各地の伝統や技術も守ることにも繋がっていけたらと思っています」
「民藝の器」を描いたテキスタイルコレクションでは、布にすることで、昔ながらの手仕事で伝統を守り作り続けている日本の器について知る機会を増やしたいと、あこさんは言います。キッチンクロスやテーブルクロスなど食まわりのアイテムに加えて、この展示会ではなんと洋服としても提案。あこさんの斬新な発想で、器×布の可能性がどんどん広がっていくようです。
▲「器」シリーズではユニセックスな洋服を提案。洋服の仕立てはTANSU(@tansu_atelier)さん。
10月19&20日の「つくりら文化祭」のマーケットにも出展してくれるあこさん。文化祭では第一弾のパンシリーズと「器」シリーズ両方が登場しますので、こちらもお楽しみに。
期間:2018.9.24(Mon)-30(Sun)
場所:渋谷ヒカリエ8階 8/ ハチ Creative Lounge MO V aiima1(アイーマ1)
東京都渋谷区渋谷2-21-1
開催時間:11:00~20:00 最終日は18:00まで
問い合わせ先:www .gochisou-textile.com
gochisou 坂本あこ
食をテーマにデザインするテキスタイルブランド。私たちの身近にある“テキスタイル”と、人間が生きていく上で欠かせない“食”とが結びつき、普段意識されない“食”に対する態度や考え方、興味を持つきっかけとなるようなテキスタイルを提案。テキスタイルという視点から食べるものを考え、おいしいものを食べたときのように、ひとを幸せにさせるテキスタイルを目指している。
ホームページ:https://www.gochisou-textile.com/
インスタグラム:@_gochisou