つくりら主催ワークショップ開催レポート2(前編)|「糸が織りなす美しい世界」寺島綾子さんの小さなてまりのチャーム

つくりら主催ワークショップ開催レポート2(前編)|「糸が織りなす美しい世界」寺島綾子さんの小さなてまりのチャーム

7月15日、つくりら主催のワークショップ第2弾を開催しました。今回のテーマは「糸が織りなす美しい世界」。和のてまりと洋のタティングレースの共演です。開催場所は、第1弾のときと同様、東京・自由が丘のオレンジハウス東京の素敵なショールーム。前編では寺島綾子さんの「小さなてまりのワークショップ」のレポートをお届けします。

撮影:奥 陽子 取材・文:つくりら編集部 協力:オレンジハウス東京

日本古来の手工芸、つややかな絹糸でかがる「加賀てまり」。そのてまりを指先サイズで再現した小さなてまりをつくっているのが寺島綾子さん。『小さなてまりとかわいい雑貨』『愛らしい加賀のゆびぬき』の著書でもおなじみです。

今回、寺島さんが教えてくれるのは、小さなてまり。カニカンつきのチャーム、フープタイプのイヤリング(片耳)、キドニータイプのピアス(片耳)の3つのなかから選べるように用意してくれました。

生徒さんが到着する前に、手際よくテーブルに材料を並べます。

こちらは、作品用に誂えた桐箱に並んだ数々のてまり。伝統的な模様からモダンなデザインまで、その艶やかな姿にテーブルが一気に華やぎます。

生徒さんひとりひとりにてまりでつくったピンクッションと針、糸切りハサミをセッティング。可愛いピンクッションに思わず気分があがります。

 

糸選びからスタート

1色の糸を巻いた「土台まり」をまずつくるのですが、ワークショップでは、土台まりにモチーフをかがる目印となる「地割り」まで寺島さんが進めてくれたものを使用します。


▲土台まり。手芸わたを球状にまるめて、地巻き糸(ロックミシン糸)をぐるぐる巻いたものに、地割りを施したもの。かがるモチーフによって、まりを分割する数が変わる。今回は10等分した地割りを使用。

てまりづくりは細かい作業の連続。面白いところまで行き着く前に息切れしてしまわないよう、まずは、その楽しい部分を体感してもらいたい。地割りまで施した土台まりの準備に、寺島さんの気遣いが感じられます。

初めての人も、経験者も、ワクワクしてしまうのは、何といっても糸選び。今回、寺島さんが用意した絹糸は、都羽根さんと糸六さん、2つの糸屋さんのものです。

「糸六さんの糸は優しくて愛らしい糸のように思います。都羽根さんはのりがきいていて硬め、繊細なグラデーションで微妙な色合いの糸が多いでしょうか」と寺島さんが説明してくれました。


▲都羽根さんの糸とオリヅルさんの糸(左上真ん中)。無地のカードに「紅うこん」などと書かれたものは、寺島さん好みの色に染めてもらったオリジナルの糸。「オリヅルさんの糸は、金沢の毬屋さんオリジナルカラーのものだけ持って来たのですが、実際使われた方もいらっしゃいました」

土台まりを手に取りながら、さっそく糸選びです。

「糸は最大で6色選べます。ただ、6色欲張ってしまうと色合わせが難しくなってしまうので3色くらいにすると選びやすいですよ」と、あれこれ迷う生徒さんに寺島さんの声が飛びます。

 

モチーフをかがります

いよいよモチーフをかがっていきます。と、その前に大切な下準備。糸をまっすぐにすることです。「糸は1mくらいにカットしたら、ピンと張って、爪ではじきます。こうすることで、糸がまっすぐになります」

地割りをした土台まりは、地球に見立てて、てっぺんを「北極」「南極」、中央の線を「赤道」と呼んでいます。まず、赤道から4ミリ下にマスキングテープを貼って目印にします。

「玉どめをてまりの中に隠すことが大事」と寺島さん。針の後ろでまりを刺し、穴をつくり、そこから針を入れて、スタート位置に針を出すと、玉結びが針の中に隠れます。

生徒さんたちも最初のひと針に集中です。

2本どりの細い糸は、注意しないとからまりがち。「絹糸の巻き込みに注意しましょう。糸を整えてから次の目をかがるのがコツです」と寺島さん。

時折、生徒さんの間から、「からまった!」との声が。「みなさん、“事故”に注意。“事故”が起こったときは早めに修正しましょう」と寺島さん。“事故現場”にかけつけて、巧みに修復していきます。

ミスを見つけたら、潔くほどいてやり直す。そうするうちに軌道に乗って、モチーフが順調にでき上がるようになってきます。「かがっていくうちに、どんどんモチーフが上にいってしまう人は、下め下めを意識してかがるといいですよ」と、美しく仕上げるためのアドバイスも。

修復でコツを覚えて、慎重に、慎重に。みなさん、着々と進んでいきます。

 

ブレイクタイムは加賀の和菓子で

みなさんのてまりができ上がりつつあるところで、ちょっとひと休み。ティータイムにご用意したのは、加賀の手工芸にちなんで金沢の和菓子。こちらは「加藤晧陽堂(かとうこうようどう)」のうちわ煎餅、夏の花鳥風月を描いた涼やかな一品です。

そして、こちらも金沢といえば、おなじみの「髙木屋」の紙ふうせん。まあるいてまりにぴったりということでセレクトしました。加賀もなか種の中にゼリーが入ったお菓子で、サイダー風味のみず色と、桃風味の白色は夏限定バージョンです。

 

仕上げます

てまりをかがり終わった人から、仕立てに入ります。チャームかピアスが選べるのですが、なんと全員がチャームを希望。

こちらはチャームにつけるビーズ。あらかじめセットされたビーズ飾りの中から好みのものを選んでいきます。

寺島さんがひとつずつ、金具を取りつけていきます。

チャームができました。

チャームが収納できる専用ケースまで! ディスプレイ用にもぴったりです。

でき上がった作品をお借りして、記念撮影。選ばれた絹糸がみな違うので、それぞれの個性が引き立ちます。こうして並べると圧巻ですね!

 

寺島さんの著書にサインを

ワークショップ会場では寺島さんの著書も販売。

ワークショップが終わると、会場はちょっとしたサイン会状態に。

「寺島さんに直接、教えてもらえてよかった!」、「最後まで仕上げることができて嬉しい」。ワークショップ終了後にお願いしたアンケートに寄せられたみなさんの声に、スタッフ一同、ほっと胸をなでおろしました。

寺島さん、そして参加してくださったみなさま、ありがとうございました! つくりら主催のワークショップ、次回は10月のつくりら文化祭。寺島さんのてまりのチャームも再び登場しますので、お楽しみに!

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