更新日: 2018/08/17
「植物のある暮らしと装いを」をテーマに活動しているフローリスト、NEROLIDOL(ネロリドール)の猪飼牧子さんの「植物教室」に参加させていただきました。その様子を、前編、後編の2回に分けてご紹介。前編は、ハーブのアイスとブーケガルニづくりの体験レポートです。
撮影:清水美由紀 取材・文:つくりら編集部
ユニークなお教室を開いている人がいますよ。そんな口コミを頼りに、フローリストのNEROLIDOLさんのサイトを見てみたら、なんと毎月、相当数のワークショップにびっくり。時は5月。「皐月(さつき)の植物教室」のテーマは「ハーブと暮らす」です。講座内容を見ると、デザートづくりに始まって、スワッグにブーケガルニまで! なんて盛りだくさんなんでしょう!
いったいどんな教室? 期待に胸に膨らませながら、アトリエのある東京・下北沢へ。下北沢駅から茶沢通りを歩くこと、約10分。代沢小学校を越えた緑道沿いにそのアトリエはありました。「NEROLIDOL」と書かれた黒板の奥に、ぽっかりと顔を出す両開きの出窓。帽子を被っているのが猪飼牧子さんです。
出窓には季節の花束が。「ぱっとセットで買えるものをと思い、毎日10束くらい用意しています。リピーターも多くて、ご近所のおじいちゃんも買って行ってくれるんですよ」と、猪飼さんが教えてくれます。
ブルーのデルフィニウムにニゲラ、イタリアンたんぽぽ、リョウブなど、なんとも優しい表情です。「主役ではないけれど、生命力があるものが好きなんですよ」と猪飼さん。
出窓の奥がアトリエです。ご実家のガレージを改装してつくったというスペースは、コンクリート打ちっぱなしのシンプルな空間。四季折々に飾られる植物によって、ワイルドにもフェミニンにも、その表情は自在に変わります。
この日の生徒さんは私も含めて3名。皆が席に着くと、まず用意されたのは、ウェルカムドリンクの「養生ブレンド」です。
ペパーミント、カモミール、エキナセア、エルダーフラワー、コーンフラワーをブレンドしたお茶だそう。ひと口含んだ瞬間、漢方のような、体に効きそうな液体がするりと喉を伝わり、五臓六腑に浸み渡ります。
「養生ブレンド」で一気にリラックスモードになったところで、講座が始まります。「植物教室」では毎回行っているという、「二十四節気と七十二候」のお話です。
各自に配られた「二十四節気、七十二候」の一覧を見ながら、お話に耳を傾けます。二十四節気は、太陽の動きによって季節を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けたもの。太陰太陽暦(旧暦)では季節を表すために用いられていたそう。春分、秋分、夏至、冬至まではすっと出てきますが、立夏、小満、芒種となると、恥ずかしながら知識も記憶もだいぶうろ覚え。ふむふむ、とお話に聞き入ります。
「植物は季節と密接に関わっています。植物に携わるようになってから、すごく季節に敏感になりました」と猪飼さん。今がいつの季節なのかを意識するためにも、この「二十四節気、七十二候」を活用しているそう。
歳時記カレンダーを手に取りながら解説してくれます。わぁっ、このカレンダー、欲しいなあ。
季節のお話の後は、レッスン最後にいただくデザートをつくります。この日のメニューは「ハーブフローズンヨーグルト」。材料は、無糖ヨーグルト、バナナ、マスカルポーネ、クルミそしてメープルシロップです。
まず、バナナをマッシャーでつぶします。
クルミもマッシャーを使って細かく砕きます。
ハーブを適当な大きさにちぎります。この日のハーブは3種類。黄緑色の葉っぱがアップルミント、ちょっと黒くなっているのがペパーミント、そしてローズマリー。ちぎるたびにさわやかな香りが鼻をくすぐります。
ちぎったハーブに砕いたクルミとバナナ、メープルシロップを加えて混ぜます。
ヨーグルト、マスカルポーネ、メープルシロップも加えます。
トレイに流し込んで平らにします。
あとは冷凍庫に入れて固まるのを待つばかり。レッスン後には美味しいデザートができ上がっているというわけですね。楽しみです!
さてお次は「ブーケガルニ」です。
「フランス語で「ブーケ」は束、「ガルニ」は添え物という意味で、ブーケガルニとは、西洋料理でスープやシチューなどを煮込むときに使われる、香辛料や香味野菜を束ねたものです。そのままポンと煮込みに使えば本格的なハーブ料理ができます」。1種類のハーブだけ束ねたものは、ブーケサンプルと呼ばれるそう。
好きなハーブを選びます。セロリの葉、タイム、ローズマリー、そして魚料理によく登場するディルです。
クルクルと紐で巻いて、でき上がりです。
3人がつくったブーケガルニ。ふんだんに葉っぱを使った大きなものも。
「ブーケガルニはあくまでも香りづけ。煮くずれる前に取り出してくださいね」と猪飼さん。「ブーケガルニ」というカッコいい名前に気後れしていましたが、つくり方はとっても簡単。これなら残り野菜を使って家庭でも気軽にできそうです。
前編はここまで。後編ではスワッグづくりの体験レポートをお届けします。
NEROLIDOL(ネロリドール) 猪飼牧子
フローリスト。フラワーアレンジメントやエディブルフラワー(食用花)、アロマテラピー、ハーブなどの植物教室を開催する傍ら、季節の花束、オリジナルブレンドハーブティー、ドライフラワーやプリザーブドフラワーなど本物の植物を使用したアクセサリーの販売などを手がける。植物が姿を変えながらも、生活に寄り添ってくれている「植物のある暮らしと装いを」を伝えている。
ホームページ:http://nerolidol-flower.com
インスタグラム:@ makiko_nerolidol/