カリグラフィー, フラワーアレンジメント, ブーケ, ワークショップ
カリグラフィー, フラワーアレンジメント, ブーケ, ワークショップ
更新日: 2018/05/31
カリグラファーの島野真希さんとフラワーアーティストの前田有紀さん。花とカリグラフィーとの美しいコラボレーション「芍薬のボックスアレンジメント」のワークショップに参加させていただきました。その様子を前編、後編の2回に分けてお届けします。前編は島野さんのカリグラフィーレッスンです。
撮影:奥 陽子 取材・文:つくりら編集部 協力:naturam
昨年、とあるイベントで出会い、ひとめぼれしてしまったボックスカリグラフィー。ラウンド形というだけで十分に魅力的な“箱”に、島野さんの流麗な文字が踊ると、なおいっそうの特別感!お花たちをお迎えするのにこれ以上ふさわしい“館”はないのでは?と思うほど。その文字を自分で綴れるワークショップがあると知り、ぜひ受けたい!と熱望。ずっとこの日が来るのを心待ちにしていたのです。
ついに念願叶ったワークショップ。この日の会場は二子玉川のレストラン「naturam」。蔦の生い茂る瀟洒なレストランです。
中に入るとさっそくお花たちが目に飛び込んできました。ときは5月初旬。まさに旬の芍薬がこんなにたくさん。
朝いちばんにお花を車につめてやってきたという前田有紀さん。さっそく手際よく花材を分けています。
お花の隣には島野さんが用意した席札が。生徒さんの名前がひとりずつ、カリグラフィーで書かれています。ゴールドのラメをちりばめたようなスタイリッシュなカードは、ウェディングドレスのブランドとしても知られる「Vera Wang」のもの。
こちらはボックスカリグラフィーに使うカラーインクの見本で、今回、島野さんが用意してくれたのは5色。「Winsor & Newton」の ゴールドインク(ボトル)と小さなレフィルの「FINETEC」のパールカラー4色。Copper Pearl, Gold Pearl, Moon Goldのゴールド3色とパープルピンク系のFine Lilacです。
黒い紙に書かれた見本を見ると、実際のイメージがわかりやすいですね。
生徒さんが来る前にひとりひとりの席に道具をセッティングしていく島野さん。
ブライダル業界でウェディングプランナーとして活躍していた島野さんは、楽しい時間を演出することにかけては、彼女の右にでるものはいないのでは? と思うくらい、天性のエンターテイナーです。島野さんのお人柄がそのまま文字に表れた、遊び心いっぱいの書体スタイルと楽しいレッスンは毎回大人気。いつもあっというまに満席になってしまうそう。
すべての席にカリグラフィーの道具がセットされました。カリグラフィー見本が書かれた練習シート、専用のペンにインク・・・。いよいよレッスンが始まります。
さまざまな流派があるカリグラフィーのなかで、島野さんが教えているのはモダンカリグラフィー。カリグラファーの数だけ書体があるともいわれている、自由なスタイルです。使う道具はペンだけでなく、ブラシもあるそうですが、島野さんのレッスンでは、オブリークと呼ばれる、斜めに曲がったペンホルダーを使います。このホルダーだと斜体の文字が書きやすいのだそう。
最初に島野さんのデモンストレーション。ペン先の角度などを実際に書きながら説明してくれます。
さあ、席に戻って練習開始です。
まずはベーシックストロークから始めます。ひと筆ごとに集中するとつい息がとまってしまいます。筆圧が高いほうではない記者は、太く書きたい線も細くなりがちです。「ちょっとペンの角度が高すぎるかもしれませんよ」と島野さん。横に並んでペンの角度を実演してくれました。
インクはペン先にたっぷりつけます。黒いインクは「Higgins」。1880年にアメリカで発売されて以来、世界中で愛用されている高品質なインクだそう。
ベーシックストロークをひと通り練習したら、次はボックスに書きたいフレーズに進みます。フレーズの書き方を学びに、再び島野さんのテーブルへ集まります。「ワードを書くときは、文字のベースラインを意識します。ガイドシートの下側の点線をベースラインと思って書いていきましょう」
モダンカリグラフィーのテクニックとして大切なのは、文字のつなぎ方。「大きい文字は大きく、小さい文字は小さく。左右の高低差をつけて書いていきます」。実際に書きながらポイントを丁寧に教えてくれました。
記者が選んだ言葉は「Many Thanks」。下の文字が透けて見える練習用の紙をもらって見本をなぞり書きします。細部を確認したいところは、見本を見ながらガイド線を頼りに。
ベーシックストロークまでは順調に書き進めたのですが、ワードがうまく書けません。ワークショップを申し込んだ時点では、「ボックスには自分の文字で自由に書くゾ!」と、「島野さんの下書き不要」に意気揚々とチェックマークを入れた記者。ところがいざ書いてみたら、まったく満足いくように書けません。急遽、島野さんに「やっぱり、下書きをお願いします」と泣きつくことに。
ずらりと並んでいるのが、これから文字入れをするボックスです。予約時に好きな文字を選び、島野さんに下書きを頼んでおくことができたので、よく見るとうっすらと鉛筆書きしたアルファベットが見えます。
ボックスへの書き方を島野さんがデモンストレーション。「側面の穴を片方の手で持ちながら、ボックスのセンターに書いていきます」
さぁ、本番です。記者が選んだインクは「Gold Pearl」。黒いボックスにひと際きらめく美しいゴールドです。
水で薄めたインクを筆に取り、ペン先にインクを塗っていきます。このとき、たっぷりすぎるくらいインクをつけないとかすれてしまってうまく書けません。
慎重に、慎重に、下書きをなぞります。ああ、下書きがあってよかった。
どうにかこうにか、書きあがりました。
これでカリグラフィーの部は終了。後編では、前田さんの芍薬ブーケのレッスンと美味しいランチについてお話しします。
島野真希(Maki Shimano Calligraphy)
書道家・カリグラファー。幼い頃から書道を始め、その世界に魅了され、ブライダル業界でウェディングプランナーとして在籍しながら筆を持つ仕事にも携わる。結婚・出産を機に退職後、本格的に書道家として始動。時同じくしてモダンカリグラフィーの世界を知る。まだ日本に先駆者がいないかったため、海外のカリグラファーから手ほどきを受け、独学で学ぶ。洗練されたウェディングアイテムや和と洋を組み合わせた独自の世界観に定評がある。
HP: http://www.mscalligraphy.com/
インスタグラム:https://www.instagram.com/mscalligraphy/
前田有紀(SUDELEY代表)
フラワーアーティスト。10年間テレビ局に勤務した後、2013年イギリスに留学。コッツウォルズ・グロセスター州の古城で、見習いガーデナーとして働いた後、都内のフラワーショップで2年半の修業を積む。「人の暮らしの中で、花と緑をもっと身近にしたい」という思いから、SUDELEYを立ち上げ、イベントやウェディングなどの装花・制作を始め、さまざまな空間での花のあり方を提案している。
HP: http://sudeley-flower.com
インスタグラム:https://www.instagram.com/yukimaeda0117/
naturam
東京・二子玉川にある一軒家レストラン。フランスのブルターニュ地方や南仏のレストランで経験を積んだ杉浦和哉さんがシェフを務め、自然の恵みや日本の四季を感じさせながら、素材の持つ美味しさを一皿に表現。
https://naturam.tokyo.jp
インスタグラム:https://www.instagram.com/naturam.labo/
東京都世田谷区玉川1-17-16
tel. 03-3708-7723
Lunch 11:30 - 14:00(L.O)
Dinner 18:00 - 21:00(L.O.)
定休日:毎週水曜日・第2・4火曜日