更新日: 2018/05/12
写真協力:gallery KEIAN 文:つくりら編集部
「手仕事が残る場所には、さまざまな『かご』が生きています」
なるほど、と共感したこの言葉は、「gallery KEIAN」からいただいた案内状に書かれていたものです。生活に密着した実用品であるかごは、その土地で採れる素材で、その風土になじむ形で、古くから手づくりされてきました。まさに、地域の手仕事を代表するものであり、人々の暮らしを映し出す鏡のようでもあります。
「gallery KEIAN」は、かごを中心に手仕事を紹介しているギャラリー。店主の堀 恵栄子さんは、かごに魅せられ、今まで数多くの企画展を手がけてきました。今回の企画展のテーマは「かごを巡る旅」です。
「私の旅は、日本でも海外でも『かごを巡る旅』です。過去4年間には、インドネシア、ベトナム、カンボジアのアジア圏、そして昨年はバルト三国リトアニア、ラトビア、エストニアを旅しました。今回の企画展では、リトアニアの『LTshop』、カンボジアの『moily』、そしてベトナムの『Suno&Morrison』の三社にご協力いただき、旅先で出会ったかごをお届けします。異国の市場を巡るような感覚で、楽しんでいただきたいと思っています」(堀さん)
普段なかなか見られないユニークなかごも多数。堀さんの旅のエピソードに耳を傾けながら、かごを巡る旅が楽しめそうです。
開催日:2018.5.12(Sat)、13(Sun)、18(Fri)、19(Sat)、20(Sun)、25(Fri)、26(Sat)、27(Sun)
開催時間:金・土曜:11:00-18:00、日曜: 11:00-17:00
場所:galleryKEIAN
東京都文京区白山4-8-11
問い合わせ先:tel:03-3941-0022
Mail:gallerykeian@gmail.com
URL: http://gallery-keian.tumblr.com
インスタグラム:@gallerykeian
「gallery KEIAN」では、国内外のかごを紹介する企画展だけでなく、“籠編み”という仕事を後世に残す取り込みも行っています。
「gallery KEIAN」から1通のお手紙が届いたのは3月のこと。それは『籠編みものがたり あけびの蔓で籠を編む 地をわたる草の聲を聴く』(仮)出版企画の案内でした。
案内状には、秋田であけび蔓細工職人の2代目として、籠をつくっている中川原信一さんの仕事を一冊の本にして残したい。ついては制作資金の調達にクラウドファンディングという方法を活用したいと綴られていました。
「中川原信一さんは籠編みを専業にする数少ない職人さんのひとりであるとともに、こだし編みのあけび籠といえば中川原さんといえるほど、人気も認知度もおありです。そして、そのお人柄と籠に向き合う姿勢には いつも頭が下がります。是非、そんな中川原さんの仕事を一冊の本にして残したいと思いました。中川原さんのお父様から引き継いだ籠編みという仕事を縦軸に、秋田の自然、暮らしを横軸に一年をかけて取材、撮影していきます」(堀さん)
インターネットの普及で以前ほど本や雑誌が売れなくなりました。1冊あたりの部数が減るとそれに伴って、制作費もミニマムになる。安価でつくった本はますます売れなくなり、新しい出版企画もなかなか通らない――そんな悪循環を繰り返して久しい出版界の状況が、今、あります。
そんな状況のなか、堀さんは、クラウドファンディングという新しい手法で、このプロジェクトに共感する人たちの力を借りて、出版企画の実現、制作資金の調達に踏み切りました。出版人としてそのあっぱれな取り組みに深く共感するとともに、「よいものを後世まで残す」というのは、この時代を生きる人間の使命だなと強く感じました。
「中川原信一さんの籠編みを残したい」。
堀さんのゆるぎない決意と情熱が伝わってくるこの出版企画は、「籠編みの世界」に一石を投じることになるのは間違いないし、次の世代への素晴らしい“土産”となるに違いありません。
秋田での撮影も着々と進んでいるというこの企画、取材のキーマンは、福島県出身のカメラマン、白井亮さん。上田義彦氏に師事した後独立、人間国宝の作品や各地の民芸、さらに自然を撮った仕事に定評があり、その独自の視点で、中川原さんの日常を切り取っています。
堀さんの情熱を注いだこの出版企画は、クラウドファンディングのサイト「キャンプファイヤー」より、ただいま支援を受付中とのこと。支援者全員に、2019年1月刊行予定の本とお礼状をお届けするという嬉しいリターンもあるそうです。
申し込み先
キャンプファイヤー
『籠編みものがたり あけびの蔓で籠を編む 地をわたる草の聲を聴く』(仮)出版企画
http://camp-fire.jp/projects/view/64644