3人の作家が奏でる色彩のコラボレーション。「Parsleysage パリ色の風景」2017.10.7(Sat) – 11.7(Tue) 東京

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3人の作家が奏でる色彩のコラボレーション。「Parsleysage パリ色の風景」2017.10.7(Sat) – 11.7(Tue) 東京

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東京・奥沢のギャラリーショップ「パセリセージ」で、10月にクリエイター3人のコラボレーション展を企画中と伺い、開催前にその模様を取材させていただきました。

撮影:Crista Priscilla、田辺エリ  取材・文:つくりら編集部 

「パリ」と聞いただけで、不思議な高揚感があるのはなぜでしょう? それは女性が女性としていつまでも輝いていられる、そんな色っぽさを秘めているからなのかもしれません。

 

カラフルなのに、大人色。それがパリ


▲コサージュ作家・伊藤さんの布花は、パリの色をイメージしてシックな染色に。

「パセリセージ」の三上さんは、前職時代、年に何回か仕事でパリを訪れていました。「市場調査として街中を散策しながらのショップめぐりも仕事のひとつでした。表通りはもちろん路地裏のお店まで、いろいろなところをまわるたびに、アンティークと混じり合うような、パリ独特のカラフルな色合いにいつも心がウキウキしていました。きっと外の白とグレイの建物の対比で、より鮮明に感じたのでしょうね」

カラフルだけれど、大人の色――そんなパリの色をテーマに作品展ができないだろうか。そう考えたときに浮かんだのは、3名のクリエイター。刺繍作家の倉富喜美代さん、アニマルドール作家の芦塚葉子さん、そしてコサージュ作家の伊藤貴之さんです。

「3人それぞれ、つくっているものも作風も違いますが、持っている基本の色が一緒だと気づき、コラボレーション展ができるのはないかと」

伊藤さんには街のお花屋さんのウインドウに飾るパリ色のブーケをイメージしてお花や実のコサージュを、倉富さんにはパリジェンヌのブローチとタッセルを、そして芦塚さんにはパリの街角や路地裏のワンちゃんやネコちゃんを・・・。次々とイメージがふくらんでいきました。

 

住んでみたいのはパリ何区?

倉富さんが制作するパリジェンヌは、2016年に百貨店での作品展の際に誕生したシリーズだそう。

「パリの何区に住んでいるか。それだけでどんな女性なのかイメージがふくらむでしょう?」。そう語る倉富さん。パリジェンヌにはそれぞれ、名前、年齢、職業まで決められています。たとえば、「Louise(ルイーズ)、40歳、パリ17区在住、絵画修復士」のように。

パリジェンヌのイメージは、モディリアーニの描く女性。傾いた顔と憂いのある表情が特徴のイタリアの画家です。「まず人形の顔からつくります。目の位置でその人のイメージが決まります。品がよくできたら16区にしようとか(笑)。自分の夢や憧れも入っているんです」

個性的な洋服もひとりひとり違います。「母が洋裁をしていたので、子どもの頃はいつも手づくりの服を着ていました。当時はちっとも嬉しくなかったけれど、気がつけば、自分が今つくっているのは、そのときに母につくってもらった洋服。子どもの頃に戻っていく感じですね」

洋服には、イギリスの刺繍学校で学んだというスタンプワークのテクニックも生かされています。ビーズや糸の持つテクスチュアまで計算したかのような、微妙な色彩のグラデーション。細やかな手仕事に思わず感嘆のため息がこぼれます。

パリジェンヌシリーズと一緒に制作したタッセルにも、倉富さんらしいスパイスを効かせています。土台布に別珍を使うという発想は、別珍のバッグを見たときにひらめいたそう。

「別珍はザクザク刺すとくずれていくことを知りました。それを見たときには、布と一体化していいなと。素材に手を加えることで、異素材がなじみます」

 

どこか人間っぽい、愛すべきアニマル

芦塚さんは、リアルで表情豊かな動物オブジェのアニマルドールをオリジナル手法で制作しています。「舞台の小道具や衣装をつくったり、動物園に勤務していたことがきっかけなんです」。今までは比較的大きなドールを手がけていましたが、今回の展示では、小さなアニマルに挑戦しました。

「リアルだけを追求していくのは、私としてはちょっと違うかなと思っていて、どこかにちょっと人間っぽい、ありえないようなポイントを入れます。たとえばポーズ。本当の犬は腰掛けたりしませんよね(笑)」

しっぽが赤かったり、緑だったりするのも、その現れ。「ただただリアルに再現するだけではつまらないでしょう」

「ドールを見た人が、『こういうふうに言っている』とか想像して、何かを感じられるものになれば。“際(きわ)”のところで遊びたい。見た人それぞれが、その人の感性で感じとってくれたら。そんな思いがあります」

チャームブローチにしたドッグフェイスも、実在の犬種を再現したわけでなく、そこはかとなくリアルだけれど、やはり想像のなかの犬たちです。

 

深い色と淡い色。その両方が宿る花

「パリ色の風景」というテーマのなかで、コサージュ作家の伊藤さんがとらえた色は、ボルドーのような深い赤黒とラベンダー色。「深い色と淡い色、その両方の色がバランス良く混じり合っている感じです」

「パリの花屋さんは、小さな店構えで、花のセレクトもオーナーさんの個性が出ている、そんなイメージです。実際に何度かパリに行き、お花屋さんにも入りましたが、ディスプレイがとても美しく、感動しました。オランダもそうですが、花の飾り方は皆さんとてもセンス良いですね」

バスケットにどっさり生けた花々から、伊藤さんが表現しようとしたパリのお花屋さんのトーンが伝わってきます。

「バラ、ラナンキュラスなどの主役級の花から、お花屋さんには売っていないイチゴの葉やすみれなどの素朴な花を交えて制作しました。濃淡の使い方には気を遣いました」

ユトリロの絵のような哀愁漂う路地やパリのグレイッシュな風景を感じつつ、一歩お店に入ると心がウキウキするようなパリの街。そんな世界が、3人の作家が描いたパリの色をのせて、「パセリセージ」という空間で広がります。

喜びも悲しみも、切なさも楽しさも、すべて受けとめて“ケ・セラ・セラ”。パリ色の風景のなかで、にっこりと微笑みかけてくれるもの。そんな宝物が見つかりそうです。

 

期間:2017.10.7(Sat)-11.7(Tue) 12:00〜19:00 (定休日:水・木・金曜)
会場:パセリセージ
158-0083 東京都世田谷区奥沢2-6-6
問い合わせ先:Tel:03-3725-6992 (受付時間:土曜日~火曜日、12:00~19:00)

 

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