更新日: 2024/02/29
人気イラストレーターくらはしれいさんのイラストを刺しゅうで楽しむ『くらはしれいの不思議の国のクロスステッチ』。
刺しゅう作家、加納博子さんがくらはしさんのイラストを図案化した本書。くらはしさんのイラストの世界観を手仕事でみごとに再現。眺めているだけでも心が和みます。
発売からご好評をいただき、おかげさまで版を重ねています。ありがとうございます!
本書をお買い上げくださった読者の方から、「久しぶりに刺しゅうをたのしみました!」「つぎはなにをつくろう。ワクワクします」といった、うれしいお声がたくさん届いています。
その中には「刺しゅう?クロスステッチ!?やったことないんだけど……。」と不安なお声がもれ聞こえてきました。
今回は本書からクロスステッチの基礎と、ちょっとしたコツを3回にわたり紹介します。はじめてのクロスステッチの参考としてご覧ください。
撮影:島根道昌、天野憲仁(日本文芸社)、文:つくりら編集部
クロスステッチは基本の「✕」の形のステッチで図柄を描くシンプルな刺しゅう。はじめての方でも図案の通りに ✕ を刺していけば、作品が仕上がります。用意するものと、きれいに刺すためのポイントを紹介します。
a. 刺しゅう糸
本書ではDMC25番刺しゅう糸を使用。綿100%で光沢があり、色数が豊富。ラメ入りもある〔DMC エトワール〕。6本の糸がゆるく束になっていて、1本ずつ引き出し、必要本数を引き揃えて使う。
b. DMC ディアマント(メタリック糸)
上品な輝きのメタリック糸。1本が25番刺しゅう糸の2 本どりと同程度の太さ。本書では1本で使用。からまないよう、25番刺しゅう糸よりも短めに切って使う。
c. クロスステッチ針
針先が丸まったクロスステッチ専用針で、糸の使用本数によってサイズを使い分けるとよい。2本どりの場合は、24番が最適。
d. 糸切りはさみ
刺しゅう糸を切るのには、切れ味がよく先の細い糸切りはさみが便利。一度刺したステッチをほどくときにも使う。
f. 刺しゅう枠(フレーム)
刺しゅうをするときに布をピンと張り、刺しやすくするための枠。内枠に別布を巻くと、セットした布がすべりにくくなる。円形の他、楕円形もある。
●布について
DMC アイーダ(14ct)
10cmに55目。マス目が数えやすく、初心者でも刺しやすい。
DMC リネン(28ct)
10cm に織り糸110本。縦糸2本×横糸2本を1マスと数えると、アイーダ14ctと同じサイズになる。数えまちがえやすいため気をつける。
カウント(ct)のこと
1インチ(2.54cm)の中に入るマス目、または織り糸の数のこと。
14ctの場合は14目、18ctの場合は18目を指し、数字が少ないほど粗く、大きいほど細かい目の布になる。
本書ではアイーダ(14ct)もしくはリネン(28ct)を使用しているため、どちらの布に刺しても同じ仕上がりサイズになる。(リネンはアイーダよりも刺し縮みしやすいため、仕上がりに若干の誤差が出ることがある。)布によって風合いが異なるため、仕上がりの好みに合わせて選ぶとよい。
*いずれも1インチ(2.54cm)角
●布の準備
図案サイズに余白分を加えて大きめに裁ちます。
額装や刺しゅう枠仕立てにする場合、小物に仕立てる場合は、各作品の仕立て方のページを参照してください。
【1】クロスステッチは端から刺し始めるとずれることがあるため、中心から刺し始めるとよい。布を四つ折りにして中心を決める。
【2】布端がほつれないよう、しつけ糸などで縁を巻きかがる。
【3】折り目に合わせて、しつけ糸などで中心に粗く十字を刺す。
●刺しゅう糸の扱い方
2本以上同時に引き出すとからまりやすいため、必ず1本ずつ引き出しましょう。
ラベルには色番号が入っているため、外さずに残しておきます。
【1】ラベルを押さえ、糸端をつまんで6本の束をそっと50cm(メタリック糸は30cm)ほど引き出して切る。
【2】糸端を軽くほぐし、1本ずつ必要な本数を引き出す。
【3】引き抜いた糸の端を指定の本数揃えてまとめる。写真は2本どりの場合。
●糸の始末
裏面で解説します。
玉結びや玉どめをせず、糸端を裏に渡る糸に通すことで、抜けないようにします。
刺し上がったら余分な糸を切り、裏もきれいに仕上げましょう。
<刺し始め>
裏に糸端を2~3cm残しておき、糸端をくるんで刺し進める。
◎1本どり、または1目だけ刺す場合裏に渡っている糸に2~3回針を入れて、糸をからませる。
<刺し終わり>
裏に渡っている糸に3~4目針をくぐらせ、余分な糸を切る。
◎1本どり、または1目だけ刺す場合刺し始めと同様にし、糸端を少し残して切る。
Instagram:@tsukurira0714
【書誌情報】
『くらはしれいの不思議の国のクロスステッチ』
著:くらはしれい 刺しゅう:加納博子
絵本作家、イラストレーターとして活躍中のくらはしれいさんのイラストがクロスステッチになりました。
少女や動物、いろいろな表情を見せるネコたち、季節のこどもたちなど、くらはしさんならではのイラストを刺しゅうで描きました。まるで絵本のようなクロスステッチ図案集です。ステッチが仕上がったら、小物に仕立てる方法も掲載しています。お気に入りの図案を好みの布に刺しゅうして、とっておきの布小物をつくってみましょう。多くの人の心を捉えて離さないくらはしさんのイラストを、手仕事、刺しゅうならではのやわらな風合いで描く、贅沢な時間をお楽しみください。くらはしれいさんのファンも必携の1冊です。
くらはしれい
岐阜県生まれ。絵本作家。イラストレーター。こどもや動物などの、どこか不思議でレトロな雰囲気で、独特な色合いのイラストを得意とする。書籍や絵本の挿絵、お菓子のパッケージ、ファブリック、雑貨などのイラストも手がける。近著に『こねこのトト』(白泉社)、『おてがみBOOK』(世界文化社)などがある。絵本作品に『王さまのお菓子』(世界文化社)、『レミーさんのひきだし』(小学館)他多数。
https://kurahashirei.com/
Instagram @hakoniwa01
X @hakoniwa01kdnm
加納博子
京都市生まれ。同志社大学卒。おんどり手芸アカデミーにて欧風刺しゅうを学ぶ。現在は横浜にてアトリエ加納主宰。人と自然へのやさしい心を常に、本や刺しゅうキットへのデザインを行っている。産経学園(自由が丘、新百合ヶ丘)、株式会社カルチャー(南林間)にて、ヨーロッパ各国に伝わる刺しゅうのテクニックを伝授するとともに、個々の発想を生かす指導を心がけている。
Instagram @ts.atelierk