更新日: 2022/05/31
世界各地の伝統的なテキスタイルの色に焦点を当てた『世界の配色見本帳』。配色パターンやテキスタイルのデザイン集として学べる新しいタイプの配色見本帳です。中東エリアの伝統的なテキスタイルの一例を紹介します。
文:ザ・ハレーションズ 撮影:サカモトタカシ 協力:SOLOLA 文:つくりら編集部
トルコ語で「毛足の短い平織りの織物」という意味のキリムは、アナトリア高原から中央アジアに住む遊牧民たちが、テントや敷物、布団、毛布など、実用的な生活の道具として作ってきたラグを指す。キリム織りは女性によって行われ、身の回りの動植物や風景の色や形からインスピレーションを得てキリムに織り込んできた。
「繁盛」や「豊穣」を意味する羊の角文様や「邪視除け」のフック文様、「永遠の命」を表す生命の樹文様など、いくつもの大胆な幾何学パターンを見ることができる。
【配色イメージ】
ペルシャ絨毯とは「イラン国内で製作された手織絨毯」の総称で、高級絨毯として世界中に名を馳せている。曲線的な文様が中心で、極めて複雑かつ細密なデザイン、また織り目が細かく密なのが特徴。ペルシャ絨毯の文様に豪奢な芸術性が加わったのは、16~17世紀ペルシャ美術の黄金期。
現在目にするアラベスク文様や糸杉文様、ボテ文様(ペイズリー柄)、エスリミー(唐草)文様などのデザインは、この頃より多用されるようになった。
【配色イメージ】
イラン南西部のザクロス山脈のふもとに住む遊牧民カシュガイ族が手織りする、毛足が長く厚みのある絨毯のこと。伝統的なギャッベは、羊毛を織り込み、果物の皮や草木で染色される。基本的に色は、無染色の生成り・赤・青・黄・緑の5色で、アブラッシュという染色の色むらを利用して、ベースがグラデーションになっている。羊や山羊、ラクダ、人、生命の樹など、シンプルな具象モチーフが多く、暖かみのあるデザインも特徴。
【配色イメージ】
【テキスタイルの問い合わせ先】
キリム:KILIM HOUSE/キリム(https://www.kilimhouse.com/)
ペルシャ絨毯、ギャッベ:ペルシャンギャラリー(https://www.persian-g.com/)
Instagram:@tsukurira0714
Twitter:@tsukurira0714
【書誌情報】
『世界の配色見本帳』
ザ・ハレーションズ著
橋本実千代監修世界各国の伝統的なテキスタイルから、配色パターンやデザインを学べる新しいタイプの配色見本帳です。
長い歴史を持つ民族的な織物や染物から、ソレイアードやフェイラー、ローラ アシュレイといった人気ブランドまで、228種のテキスタイルを掲載、配色パターンは955種!
テキスタイルごとに使用色とボリュームを、見た目の印象で置き換えた「配色バー」で示しています。すべての色にはRGBとCMYKの数値を記載しているので、印刷にもデジタルにも対応。基本的な色のしくみや、世界各国のテキスタイルの特徴や歴史的背景も解説します。国旗とは違った各国の独特なテキスタイルを学べて、新鮮な配色を楽しむことができます。クリエイティブな活動に役立つ一冊です。
ザ・ハレーションズ
編集兼ライターの武智美恵とデザイナー兼イラストレーターの伊藤智代美からなる創作ユニット。
カラフルな色が大好きで「色」と「編み物」にまつわる著書を多数出版。ザ・ハレーションズ名義では『世界のパンチカラー配色見本帳』(ピエブックス)、『かぎ針編みのモチーフ 色づかいと配色の見本帖』(誠文堂新光社)、『かぎ針で編むモチーフデザインBOOK』(日本文芸社)などがある。
www.facebook.com/halations
橋本実千代
婦人服地のテキスタイル卸売会社に11年勤務後、色彩講師の道へ。クリエ・スクール、跡見学園女子大学他、企業、個人向けに色彩教育を行う。テレビ、雑誌、新聞の連載等でも活躍。
日本色彩学会正会員 色彩検定協会認 定色彩講師 東京商工会議所認定講師。
近著は『世界でいちばん素敵な色の教室』、『366日 日本の美しい色』/監修(三才ブックス)。