更新日: 2022/02/08
伝統模様から創作模様まで、3人の作家によるこぎん刺しの図案集『連続模様で楽しむ はじめてのこぎん刺し』(日本文芸社 編)から、その歴史や作品を紹介します。ひとつでも、組み合わせでも、ひろがるデザインに、こぎん刺しの楽しさを実感できます。
デザイン・製作:みずのよしえ(hitoharico)、金子 梢(promerner avec) 撮影:蜂巣文香、文・編:日本文芸社
一針、また一針と刺し進めるごとに、織物のように美しい幾何学模様ができ上がっていくこぎん刺し。一見、複雑そうに思えますが、その模様をよく観察してみると、いくつかの簡単な模様が組み合わされて、さまざまな模様を形づくっていることがわかります。
こぎん刺しは、青森県弘前市を中心とする津軽地方で江戸時代に生まれました。冬の寒さをしのぐため、補強と保温を兼ねて目の粗い麻布に木綿の糸で刺しゅうを施したのが始まりで、野良着を意味する「小巾」や「小衣」(ともに読みは「こぎん」)に由来します。
明治時代に入り、木綿糸が自由に手に入るようになると、女性たちは腕を競うようにこぎん刺しを楽しむように。こうして、繊細で美しい幾何学模様が次々に生みだされました。
こぎん刺しの模様は津軽の言葉で「もどこ」と呼ばれ、現在でも約40種類の伝統模様が存在します。それらには動植物や昆虫、田畑など、自然や生活にちなんだ名前がつけられ、今もなお親しまれています。「花こ」や「豆こ」など、かわいいものの語尾に「こ」をつけるのが、津軽弁の特徴です。
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【書誌情報】
『連続模様で楽しむ はじめてのこぎん刺し』
日本文芸社 編
デザイン・製作 hanakogin、みずのよしえ(hitoharico)、金子 梢(promener avec)
こぎん刺しの図案集です。
伝統模様を中心に、手軽に楽しめるものから刺しごたえたっぷりのものまで、こぎん刺しの連続模様を多数ご紹介。単独で刺してワンポイントに。配置を変えたり、連続で刺したり、模様を反転させたり。布と糸の組み合わせを替えたりするだけでひとつの図案が、いく通りにも楽しめます。
こぎん刺しの基礎もわかりやすく解説。基本のルールを理解することで、模様を組み合わせたり、連続で刺したりと、アレンジがしやすくなります。
さらに伝統模様から創作模様まで、3人の作家によるさまざまな図案を紹介します。仕立てを加えた、コースターやブローチなどのアレンジ作品も提案しています。これまでこぎん刺しを楽しんできた方にも、デザインの広がりを感じていただける一冊です。