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ハンガリー刺繡作家・井沢りみさんに教わるハンガリーの刺繡(前編)

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4人の作家による、花をモチーフにした刺繍の作品集『彩る 装う 花刺繡』。本書から、ハンガリー刺繡作家・井沢りみさんに教わるハンガリー刺繡の特徴を、前編・後編2回にわけてご紹介します。

撮影:井沢りみ・大沼ショージ 文:つくりら編集部  

ハンガリー刺繡とは?

ヨーロッパのほぼ中央に位置するハンガリーは、西欧と東欧の文化が混ざり合い、ここで多様な刺繡が発達しました。地方ごとに異なる刺繡の文化(図案・テクニック・糸の配色・糸の太さなど)は独特で、華やかな色彩のカロチャ(Kalocsa)刺繡やカロタセグ*(Kalotaszeg)地方に残るイーラーショシュ(Írásos)などが有名です。北海道より少し広い程度(ハンガリー93,030km²、北海道83,450km²)の国土ですが、30種類以上の多様な刺繡が存在します。
*現ルーマニア、旧ハンガリー領

ハンガリー刺繡とは?井沢りみさん『彩る 装う 花刺繡』▲ マーケットとでは、女性たちが刺繡したクロスなどが並びます。

 

糸や道具のこと

特別なものは使いませんが、糸切りばさみは、先が細く尖り反り返ったものがあると、アイレットエッジ刺繡の中心の布地を小さくカットするときに便利です。

イーラーショシュ用の綿糸は、井沢先生は、ルーマニア製の「VOLGA」を使用。質感は多少変わりますが、毛糸や太めの刺繡糸や刺し子用の糸(太い方)でも代用可。毛羽がなく、引っ張ってみて伸びない毛糸がおすすめです。ハンガリーの8番糸や、ハンガリーの25番糸なども使用していますが、DMCなど(それぞれ8番、25番)の糸で代用できます。

 

刺し始めと刺し終わり

ハンガリー刺繡では、刺し始めと終わりは玉結びなどをせず、糸端が見えないように始末します。

【刺し始め】刺し埋める部分の中心あたりから刺し入れ、糸の端をぎりぎりまで引いてから刺し始めます。

ハンガリー刺繡・刺し始め『彩る 装う 花刺繡』

 

【刺し終わり】裏で糸の内側に針を通し、返し縫いをしてから切ります。この時、刺繡糸が表にひびかないように注意。

ハンガリー刺繡・刺し終わり『彩る 装う 花刺繡』

 

Instagram:@tsukurira0714

【書誌情報】
『彩る 装う 花刺繡』
著者:井沢りみ、salvia、マカベアリス、森本繭香『彩る 装う 花刺繡』書影4人の作家による、花をモチーフにした刺繍の作品集。シンプルナチュラル、ハンガリー刺繍、北欧風、グラデーションなど、さまざまなテイストが一冊に。刺繍の技法もバラエティに富み、基礎テクニックも紹介しています。刺繍した布をブローチやバッグに仕立てたり、既製品に刺したり。お気に入りの図案を見つけてください。