更新日: 2021/07/19
オートクチュール刺しゅうは、パリ・コレクションに代表されるような有名なメゾンに愛されてきた伝統刺しゅうです。その美しさを支える代表的な技法がフランスのリュネビル地方発祥とされるリュネビル刺しゅう。ビーズやスパンコールを用いた、立体的できらめく美しさが魅力です。『はじめてのオートクチュール刺繍』から紹介します。
デザイン・制作:Yukari Iwashita、刺しゅう:Tomoko Kanki 撮影:近藤伍壱(ROBINHOOD)、天野憲仁(日本文芸社) 文:つくりら編集部
オートクチュール・コレクションの歴史は、古き良きパリを象徴するベル・エポックの時代、20世紀初頭にはじまります。最高級の素材や職人技をふんだんに使ったコレクションドレスが一同に会するパリ・オートクチュール・コレクションは、世界中の注目を集めました。この華やかな世界を支えたのが、今なお引き継がれるオートクチュール刺しゅうの技術です。
▲CIEL NOCTURNE 夜空 制作:Yukari Iwashita
ファッションの工業化により、時代とともに刺しゅうは機械化され、一時は衰退の道をたどるかに思われた職人の手刺しゅう。しかし機械では再現できない繊細で複雑な技法は、一流デザイナーが発表するコレクションで活動の幅を広げ、刺しゅう芸術の伝統を守りながら発展してきました。
▲ALPHABETS アルファベット 制作:Tomoko Kanki
たとえばパリの「ECOLE LESAGE(エコール・ルサージュ)」は、オートクチュール刺しゅうの高度で緻密な技術を発展させ、職人を多く輩出している代表的な学校です。7万点にもおよぶ刺しゅうサンプルが保管されているとされ、マドレーヌ・ヴィオネ、スキャパレッリ、イヴ・サンローラン、クリスチャン・ラクロワなど、有名なメゾンの美しいショーを飾った作品の数々は、世界的にも大変貴重なコレクションといわれています。
▲TWEED ツイード 制作:Yukari Iwashita
現在、日本でもオートクチュール刺しゅうアーティストが、フランス発祥の刺しゅうを日本人の感性や文化と融合させ、ファッションに教室にと、様々な場で活躍しています。
パリを訪れることがあったら、観光とはひと味違う過ごし方として、講座に通ってみたり、刺しゅうの専門店をめぐったりしてみてはいかがでしょうか。本格的な刺しゅう職人の技術にふれることは、素敵なひとときになるでしょう。
▲本格的なオートクチュール刺しゅう枠「MÉTIER」 販売店:Apollon
Instagram:@tsukurira0714
【書誌情報】
『はじめてのオートクチュール刺繍』
制作協力:Yukari Iwashita、監修:Apollon
オートクチュール刺しゅうは、パリ・コレクションに代表されるような有名なメゾンに愛されてきた伝統刺しゅうです。その美しさを支える代表的な技法がフランスのリュネビル地方発祥とされるリュネビル刺しゅう。ビーズやスパンコールを用いた、立体的できらめく美しさが魅力です。
オートクチュール刺しゅうのテクニックを、わかりやすいプロセス写真で解説します。ひとつひとつの動作や、テクニックの仕上がりイメージもわかりやすいでしょう。また、道具や材料を入手できるショップも紹介しています。
はじめの人にもトライしやすく普段のファッションに取り入れやすいアイテムを掲載。さらに、とびきり華やかで美しいヘッドドレスなどオートクチュール刺しゅうならではの魅力が伝わる作品もご紹介します。