更新日: 2021/05/07
着物の布は、美しくて見ているだけでも心が和みます。昔の人は、一枚の着物を季節ごとに縫い替えて大切に着ていました。私たちもリメイクすることで、着物のよさを肌に触れて味わうことができます。
有松絞りの浴衣で仕立てた、コクーンシルエットのバッククロスワンピースです。
ウエスト寸法がとても大きいので、下に何を着てもゆったりとした着心地です。薄手の着物をおすすめします。エプロンとして使用する場合はコットンが適しています。
でき上がりサイズ:スカート丈/M72㎝、L74㎝ ウエスト/136㎝
<材料>
着物地
・左右身頃 各1枚
・袖 2枚
・おくみ 2枚
伸び止めテープ(薄地用・12㎜幅) 65㎝
接着芯(薄地用・75㎝× 20㎝) 1枚
つくり方の詳細は、本書掲載の[製図と裁ち方図]、[作り方順序]をご参照ください。
着物の多くは正絹や木綿で、天然素材の着物が肌に触れたときの心地良さは格別です。ここでは、リメイクに向く着物地の一部をご紹介します。
選ぶときのポイントは、
【1】ブラウスなら薄いもの、ボトムなら丈夫なものなど、作りたいアイテムに風合いが合っているか。
【2】色落ちすることや縮むことも。必ず端布でテストを。
【3】虫食いやシミがある着物を使う場合は、そこを省いたり繕ったりしても作れるか確認を。
大まかに、これらのことに注意しながら、好きな着物で作り替える楽しみを味わってください。
盛夏用の単衣(ひとえ)仕立ての着物で張り感のあるものが多い。もじり織という、経(たて)糸2本を交差させながら織り上げ、緯(よこ)糸を数本おきにすき間を作りながら織り上げた生地が一般的。絹のほかに、綿や麻なども。
盛夏用の絹の生地で張り感のあるものが多い。 紗は絽と同じもじり織だが、経糸2本を緯糸1本に交差させながら織り上げているため、絽よりもすき間が均等で透けた感じがシンプル。非常に透け感のある生地。
しなやかで光沢の美しい絹織物。縒(よ)らない糸をつかって織り上げた繻子織り(表面に経糸か緯糸のみがあらわれる生地、英語ではサテン)の生地のこと。写真は綸子の生地に小紋柄を入れたもの。
大正から昭和にかけて人気のあった絹織物で、経糸の色と緯糸の色をずらすことで、色の境界がぼやけ、模様を作る。色鮮やかな草花の柄から玉虫色に光る質感のものなど、種類も豊富。とてもハリ感の強い布。
丈夫で、三代にわたって着ることができるといわれるほど。ふかふかとした風合いで江戸庶民に愛された絹織物。大島(おおしま)紬や結城(ゆうき)紬が有名。結城紬は手紡ぎ、手染め、手織りと、すべて手作業のため、非常に高価。
生地全面に細かい凸凹状の「シボ」がでた織物で、縦横共に生地が動きやすく、とてもしなやかな布。絹織物だけでなく、ポリエステルなどの化繊で織ったものもあり、種類も錦紗、絽、縫取など豊富。
主に綿生地で、涼しく、汗をよく吸ってくれる。縫いやすく、リメイク初心者にも向く素材。柄や風合いもさまざまで、時代によっても個性のある柄が豊富。大柄の場合は、身頃の左右で、柄が互い違いになっているものが多い。
模様の輪郭がかすれて見える柄が特徴で、着物の柄を出すための絣糸(糸の段階で染め分けをした糸)を使って織られた木綿の着物。絣の技術は各国でみられ、インドネシア語ではイカットと呼ばれている。写真は久留米絣。
植物の麻、苧麻(ちょうま)や亜麻(あま)などから作られた、裏地をつけない夏の着物。しぼのある小千谷縮(おぢやちぢみ)のほか、縞や無地の多い男性の着物地も。ハリ、コシがあるものが多くて丈夫、肌触りがさらっとしていて、洗濯してもすぐに乾く。
Instagram:@tsukurira0714
【書誌情報】
『毎日着られる着物リメイク』
著者:志水美香着物としてはもう着ないけれど、捨てるのはもったいない。
着物を何かに作り替えたい方へ、いろんなアイテムをご提案。
正絹の小紋や紬は、おしゃれ着に。洗濯できる木綿や麻、浴衣は、夏のおしゃれ着や普段着に。少しの用尺でできる、お弁当包みやマスク、エコバッグなどもご紹介しています。
眠っていた着物地が、毎日着られる服に大変身。あなたのリメイクソーイングにぜひ、お役立てください。
志水美香
文化服装学院 服飾専攻科 デザイン専攻卒業後、株式会社コムデギャルソンにパタンナーとして入社。その他のアパレル会社勤務を経て10 年で独立。屋号『晴ル屋』として、フリーランスのパタンナーを中心に活動するかたわら、オリジナル作品制作やオーダーメイドを手掛ける。オリジナルでは、天然素材の草木染めや、日本の布を使用し、心と身体に優しい手作りを心がけている。
インスタグラム @hareruya_tezukuriya
手作りネットショップ https://www.creema.jp/c/hareruya