更新日: 2021/04/02
針仕事のお供、ピンクッション。つくって楽しむ、使って楽しむ。裁縫好きなお友だちのプレゼントにもよろこばれそうです。
文:Koyun 由紀子、つくりら編集部 撮影:寺岡みゆき、天野憲仁(日本文芸社)
キリムを1枚織るための糸の準備には、大変な時間がかかります。遊牧民たちは、羊やヤギを育て、毛を刈り、洗い、すいて、紡いで糸にし、草木で染めます。なかでも紡ぐのに時間がかかるため、いつでもどこでも歩きながら紡ぐのです。織り機は移動できる簡易的な水平機、もしくは枠機で織ります。道具はくしのみ。キリム織りは指をたくみに使って織るのです。
針仕事には欠かせないピンクッション。遊牧民の袋物はほとんどが、1枚のキリムからつくられています。ストライプなど表面と違ったシンプルなデザインの袋の裏面が、とても魅力的。中身に残糸をつめ込んでいます。
モチーフ:アシュク ベ ビルレッシム/陰陽
<使用糸>
オリジナル糸:タテ糸、0 生成、7 朱、10 橙、17 薄緑、27 青、32 茶紫、34 こげ茶
DMC:7491、ECRU、7127、7505、7404、7307、7801、7469
出来上がりサイズ:タテ6×ヨコ6.5㎝
*作品はオリジナル糸使用
タテ糸1本おきにヨコ糸を通して織ります。「左から右へ糸を通す」「右から左へ糸を通す」のふたつの動作を繰り返すだけです。
左から右へ糸を通す
下糸数本を上糸より上に引き上げ、できた間(間口)にヨコ糸を通す。右端まで繰り返す。
右から左へ糸を通す
上糸と下糸の間に左手を入れ、一気にヨコ糸を通す。
*右利きの場合。左利きの場合は左右逆の動きになります。
Koyunオリジナル糸の購入は
全38色の太めのキリム織り専用の糸です。タテ糸(白)もあります。
WEBで購入可能です。
DMCのタペストリーウールの購入は
手芸店やWEBでも購入可能。
*オリジナル糸より細いので、完成品も小さくなります(本書p.48掲載)。
株式会社越前屋
https://www.echizen-ya.net/
つくり方の詳細は、本書掲載の織り図とポイントをご参照ください。
Instagram:@tsukurira0714
【書誌情報】
『はじめての、小さなキリムと小物たち』
著者:Koyun 由紀子
「キリム」とは、アナトリア高原を中心とする遊牧民たちによって受け継がれてきた伝統的な織物のこと。エキゾチックな文化と歴史に育まれてきた独特の文様、色彩が魅力です。
キリムに魅せられたKoyun 由紀子さんが、現地で修業した技法をシンプルにわかやすくまとめ、すべて図案を掲載しています。はじめの1枚のシンプルなコースターなら、いつもの手芸と同じ気分で取り組めます。キリムのモチーフにこめられた、遊牧民らしい願いや祈りの意味も紹介します。
日本ではほとんど手に入らない糸の購入先を掲載しています。手芸店で一般的に手に入る糸も紹介しているので本格的な糸と、トライしやすい糸、お好きな糸ではじめられます。
暮らしに取り入れやすいよう、小物もたくさん紹介。巻末にはKoyun由紀子さんの作品やオールドキリムを掲載しています。キリムの魅力が満載です。
Koyun 由紀子
1996年トルコに渡航、現地でキリム織りを習得し、1998年キリム教室をスタートする。現在、キリム手織り工房koyun主宰。グァテマラでもマヤ織りを習得するなど、その活動は多岐に渡り、プリミティブテキスタイルの研究・伝承を行っている。個人教室のほか、NHK文化センターなどでも講師を務める。個展・合同展示会も多数開催。2019年に初めての著書『はじめての、小さなキリムと小物たち』(日本文芸社)を上梓。
ホームページ:https://kilimkoyun.thebase.in/
インスタグラム:@kilimkoyun