更新日: 2021/03/05
インテリアアイテムとして人気のキリムを手仕事で楽しんでみませんか。『はじめての、小さなキリムと小物たち』からトライしやすいコースターを紹介します。手づくりのインスピレーションを探しているとき、「つくりら」をのぞいてみてください。
文:Koyun 由紀子、つくりら編集部 撮影:寺岡みゆき、天野憲仁(日本文芸社)
キリムは遊牧民の生活から生まれた、とても歴史の古い織物です。モチーフや配色のパターンは、それぞれの部族や家系にシンボルとしての伝統がありますが、図案はなく、お手本は母や祖母が織ったものだけ。女性たちはモチーフに祈りや願いを込めて心の内を織りこみます。
ストライプ[左]
基本の平織りの練習に最適。最初にコースターを織ってみましょう。配色はグラデーションにせず、できるだけ補色(反対色)に。互いの色を際立たせる配色がキリム流です。
<使用色>
タテ糸、0 生成、4 薔薇、8 柿、17 薄緑、14 薄黄、29 濃紺、32 茶紫
でき上がりサイズ:幅約10cm
*作品はオリジナル糸を使用
ハッチ/十字[右]
邪視を四方に分散する形で生命を保護するモチーフです。邪視とは邪悪な人の目から送られる視線で、妬みや嫉妬を引き起こし、財産でだけでなく、無防備な人々を傷つける力があると考えられています。
<使用色>
オリジナル糸:タテ糸、0 生成、5 赤茶、29 濃紺
でき上がりサイズ:幅約10cm
DMC:7491、ECRU、7008、7299
でき上がりサイズ:幅約6cm
*作品はオリジナル糸を使用
木枠
本来は大きな枠機で織りますが(本書p.3掲載)、本書ではF8サイズのキャンバス用木枠を使用しています。
手芸用はさみ
つなぎ目の糸端や、タテ糸を切るときに使います。
綴じ針
タテ糸を織り目に隠すときや、接ぎ合わせるときに使います。編み物用の綴じ針など、針先の丸いもので、ヨコ糸が針穴に通る大きさのものを選んで。
くし
ヨコ糸打ち込む道具。本書ではダルマ「絵織亜」のくしを使用しています。フォークなどでも代用できます。
糸
敷物としての耐久性が必要なため、編み物用のやわらかい糸は適していません。キリム用の少し粗めの羊毛糸はほとんど流通していないため、本書では作品制作用に特注の糸を使用しています。現地の糸の3倍くらいの太さなので、初心者でも織りやすく、また大きな作品づくりにもぴったり。一般的に手に入りやすいDMCのタペストリーウールも紹介しています。細めで小物づくりによいでしょう。
タテ糸は撚りの強い「強撚糸(きょうねんし)」を使います。
Koyunオリジナル糸の購入は
全38色の太めのキリム織り専用の糸です。タテ糸(白)もあります。
WEBで購入可能です。
DMCのタペストリーウールの購入は
手芸店やWEBでも購入可能。
*オリジナル糸より細いので、完成品も小さくなります(本書p.48掲載)。
株式会社越前屋
https://www.echizen-ya.net/
つくり方の詳細は、本書掲載の織り図とポイントをご参照ください。
Instagram:@tsukurira0714
【書誌情報】
『はじめての、小さなキリムと小物たち』
著者:Koyun 由紀子「キリム」とは、アナトリア高原を中心とする遊牧民たちによって受け継がれてきた伝統的な織物のこと。エキゾチックな文化と歴史に育まれてきた独特の文様、色彩が魅力です。
キリムに魅せられたKoyun 由紀子さんが、現地で修業した技法をシンプルにわかやすくまとめ、すべて図案を掲載しています。はじめの1枚のシンプルなコースターなら、いつもの手芸と同じ気分で取り組めます。キリムのモチーフにこめられた、遊牧民らしい願いや祈りの意味も紹介します。
日本ではほとんど手に入らない糸の購入先を掲載しています。手芸店で一般的に手に入る糸も紹介しているので本格的な糸と、トライしやすい糸、お好きな糸ではじめられます。
暮らしに取り入れやすいよう、小物もたくさん紹介。巻末にはKoyun由紀子さんの作品やオールドキリムを掲載しています。キリムの魅力が満載です。
Koyun 由紀子
1996年トルコに渡航、現地でキリム織りを習得し、1998年キリム教室をスタートする。現在、キリム手織り工房koyun主宰。グァテマラでもマヤ織りを習得するなど、その活動は多岐に渡り、プリミティブテキスタイルの研究・伝承を行っている。個人教室のほか、NHK文化センターなどでも講師を務める。個展・合同展示会も多数開催。2019年に初めての著書『はじめての、小さなキリムと小物たち』(日本文芸社)を上梓。
ホームページ:https://kilimkoyun.thebase.in/
インスタグラム:@kilimkoyun