更新日: 2021/08/13
『パリスタイルで愉しむ 花生活12か月』の編集後記2回目は、フリー編集者・須藤敦子さんの企画の立て方について。連載・編集作業にあたり、須藤さんのお仕事の手順が垣間見られる貴重な機会です。企画に悩む人のヒントにもなるでしょう。
撮影:斎藤由美、須藤敦子 文:須藤敦子、つくりら編集部
実は連載を企画する時点で、連載をまとめて1冊の本にする、という計画がありました。実作業としては「連載をまとめて、本にする」のですが、企画の立て方は逆で、「1冊の本にするために、どういう連載にしたらいいか」だったのです。
私の場合、企画を考えるときは、まずA4の裏紙にいろんなことを書いていきます。なるべくかしこまらないように、使うのはあえて裏紙。そこに頭に浮かんだ雑多な考えを書きなぐります。図だったり、文字だったり、思いつくままにどんどん。これは私にとって一種の「通過儀式」で、脳裏をよぎった「考えのかけら」を、沼底の深いところまで探し求めに行くような感じです。
この段階でできた手書きのラフは、実際に編集制作を進めるなかで、判断に迷ったとき、原点に立ち戻りたいときに必ず見直すようにしています。いわば、出発点、最初の着想でもあり、自分自身がブレないための指針でもあるのです。
特にどういう本にしたいかは、何度も言葉にしてみます。「手書きラフ」を改めて見直すと、そこにはこんな言葉がありました。
どういう本にしたいのかを言葉にしていくと、どんなビジュアルがいいのか、どんなストーリーが喜ばれるのか、が見えてきます。毎月発信できる連載では、月ごとにその季節を代表する花を決めて、ストーリーはその花に関するエピソードや、読者が真似できるような身近なアイデアを盛り込もう。こんなふうにして、ざっくりとした書籍の方向性と、連載のコンテンツが固まっていきました。
Instagram:@tsukurira0714
【書誌情報】
『パリスタイルで愉しむ 花生活12か月』
著者:斎藤由美
パリ在住のフラワーデザイナー、フォトエッセイストとして活躍する斎藤由美さんが、「花のある暮らし」をテーマに12か月の花を紹介します。
華やかな作品や暮らしに溶け込む花あしらいなど、パリの街に咲き誇る花々の美しい表情を切り取った、たくさんの写真とともにお伝えします。
すぐにでも生活に取り入れられる花活けのテクニックや、由美さんがいち早く日本に広めたシャンペトルブーケに、コンポジション・スペシャル、キューブワークのプロセス解説も。
20年以上パリに暮らし、由美さんが感じた、個性を重んじるフランスの生き方や、花と人、真の豊かさについて綴るエッセイに、心豊かに生きるヒントを見つけることでしょう。ページをめくるたびにパリのエスプリも感じる、心のエステになる一冊です。
斎藤由美
パリ在住フラワーデザイナー/フォトエッセイスト。信州で花教室主宰後、2000年パリへ花留学。著名なフラワーアーティストの元で修行。コンペに勝ち抜きホテル・リッツの花装飾を担当。現在は驚異のリピート率を誇るパリスタイルの花レッスンと執筆が主な活動。花市場と花店視察など研修ツアーも手がける。著書に『シャンペトルのすべて』『コンポジション』『二度目のパリ』などがある。
インスタグラム: @yumisaitoparis
ブログ「パリで花仕事」:https://ameblo.jp/yumisaitoparis/
須藤敦子
出版社勤務を経て、フリーの編集者に。「つくりら」には立ち上げから参加し、2020年9月まで編集ディレクションを務める。企画・編集した書籍に『Flower Noritake』『二十四節気 暦のレシピ』『パリスタイルで愉しむ 花生活12か月』『植物刺繡と12か月のおはなし』(日本文芸社)、『Calligraphy Styling』『Calligraphy Lifestyle』『amenote』(主婦の友社)などがある。