更新日: 2019/11/01
藤原連太郎さん、Shabomaniac!さん監修の『珍奇植物 ビザールプランツと生きる』より、世界が愛してやまない不思議な植物たちをご紹介します。
コノフィツム属でもっとも入手が難しく、かつ栽培困難な種のひとつ。亜種名は「赤い」を意味する。自生地は西ケープ州と北ケープ州の境付近で、標高780〜1250mの山地。砂が溜まった片麻岩のくぼみに砂に半ば埋もれて育つ。確実な自生地は1箇所しか知られておらず、個体数は500個体未満と推測されている絶滅危惧種である。透明感ある葉の高さは3cmほど、ルビーのような赤い色になるのが良い特徴。休眠期の夏は、しっかり遮光し、涼しく風通しのよい環境で過ごさせる。群生すると腐りやすいので、定期的に株分けする。
頂部の窓の部分に複雑な模様が入る。色彩もさまざまで、産地ごとの様々なタイプに、いくつもの亜種や変種が記載されている。勲章玉とも呼ばれている。
透き通ったボディは、触るとゼリーのように柔らかい。赤やピンクに色づいて、果物やキャンディを思わせる。およそ生きている植物らしくない。自生地は北ケープ州西部のオレンジ川沿いの地域で、年間降水量50ミリに満たない砂漠で、春と秋に降水量のピークがある。半ば融合した一対の葉は、幅、高さとも2-3cm前後。多くは単頭だが、栽培下では群生しやすい。フォルムや色彩には産地ごとに変異があり、イチゴのような鮮やかな赤に染まるものからピンクやオレンジ、また瑞々しいグリーンまで様々だ。これは栽培環境によっても変化する。花は夜に咲き、ツンとくる匂いがある。(写真左上はPofadder産で、下はEksteenfontein産)
“多肉植物”ブームの中、今世界中から注目を集めているのが、塊根植物やディッキアなど“珍奇植物”と言われる見た目が変わった植物たち。盆栽のような見た目、デザイン・アート性に優れたその特徴は、インテリアとして部屋によくなじみ、写真映えも◎。
本書は、独特な特徴や育て方、自生地を詳細解説するとともに、今回、まだどこにも載っていない、北アメリカ、南アフリカ、オセアニアなどのレアな珍奇植物もたくさん掲載している完全保存版!
【書誌情報】
『珍奇植物 ビザールプランツと生きる』
珍奇植物と言われる、姿形に特徴があり、その生態も非常に個性的な植物たちがいま注目されています。その変わった植物たちの特性や自生地の環境など、共に珍奇植物たちと暮らしていくための他にはないヒントがたくさん詰まった実用書です。
藤原連太郎
新しい価値を提供する園芸用品と植物のショップTOKYの代表兼ディレクター。植物好きが昂じて2014年に同店のネットショップを立ち上げ、2016年には東京日本橋に実店舗をオープン。作家物やセレクトの植木鉢のほか、自社オリジナルアイテムも多数手がけている。
Shabomaniac!
幼少よりシャボテン・多肉植物に惹かれ、栽培歴40年の園芸研究家。幅広く様々な科、属の植物を育て、栽培困難種の実生や、新種の輸入にも早くから取り組んだ第一人者。自生地を度々巡り、開設から10年を迎えるブログには実体験に基づく栽培法と、自ら長期間育成した美しい植物の写真が並ぶ。