インテリア, フラワーアレンジメント, フランス, 暮らし, 植物, 花
インテリア, フラワーアレンジメント, フランス, 暮らし, 植物, 花
更新日: 2020/02/27
今月からスタートしたフラワーデザイナー&フォトエッセイスト斎藤由美さんの連載、「パリスタイルで愉しむ 花生活12か月」。第1話では、ミモザで彩られたパリの風景をご紹介しました。第2話では、暮らしのなかで愉しめるミモザアレンジが登場します。
撮影:斎藤由美、辻本まり(スワッグの写真) 文:斎藤由美
パリに春を告げる可憐なミモザですが「すぐに枯れてしまう」といわれます。
あのふわふわな花を長もちさせるため、水揚げの際にクリスマスローズやリラ(ライラック)に有効なぬるま湯につけてみたり、砂糖を少々入れて、水道水と比べてみたりしましたが、結果はどれもほぼ変わらず・・・。
ミモザの場合はとくに、長い期間飾るというより、生命力にあふれた香りや色から精気をもらうことに重きをおいたほうがいいようです。
私がレッスンをしている「ローズバッド・フローリスト」では、お客様に「ミモザは長もちしませんよ」とはっきり言います。「はかない花なのね。けれどこんなに美しいんだもの、いいわ」と自宅に買って帰るマダムたち。こういうところにパリの「粋」「エレガンス」を感じます。
ミモザのドライになりやすい性質を生かして、リースやざっくり束ねてリボンで結び、逆さに吊るすスワッグが人気です。
さらに簡単で早くできるデコレーションを1つご紹介しましょう。背の高いガラス花器に合わせてカットしたミモザを、すっぽり花器の中に入れるだけででき上がり。そのままドライになることを想定し、あえて花器に水を入れず、底までふわふわの質感を見せます。
いくつか並べるとテーブルが華やぎます。背の高い花器がない場合は、シャンパングラスでも。バルーン状の花器があったら、大きさに合わせて丸めた枝を重ねて入れるといいでしょう。器の中にミモザを収めるのがデザインのポイントです。家にあるガラスの器でいろいろ工夫してみてください。
さて、2月のレッスンは毎日ミモザが登場して、まるで「ミモザ祭り」のようです。愛らしいポンポンを際立たせるため、レッスンでお伝えしている「秘密」があります。それは「葉を取り除くこと」。
ブーケを束ねるとき、まず茎の下方にある花や葉を取り除く「ネトワイエ」という作業をします。
このときに処理した小さな花を捨てるのは忍びなく、家に持って帰り玄関、テーブル、バスルーム、寝室など、あちらこちらに飾ります。
花を飾るのは花瓶だけに限りません。アンティークの薬瓶、蚤の市で見つけた素朴な陶器ボトル、欠けた部分を自ら金継ぎしたお気に入りのゴブレット、ブリキのバケツなど、花の長さに合わせ、食器や雑貨も使って自由に遊んでいます。
家での花飾りはとてもシンプル。一種生けがほとんどです。
下に敷くクロスをどれにしようか考えるのも楽しい時間。
春の黄色に触発されて、ウィークエンド・シトロンやミモザサラダが食べたくなる2月です。
斎藤由美
パリ在住フラワーデザイナー/フォトエッセイスト。信州で花教室主宰後、2000年パリへ花留学。著名なフラワーアーティストの元で修行。コンペに勝ち抜きホテル・リッツの花装飾を担当。現在は驚異のリピート率を誇るパリスタイルの花レッスンと執筆が主な活動。花市場と花店視察など研修ツアーも手がける。著書に『シャンペトルのすべて』『コンポジション』『二度目のパリ』などがある。
インスタグラム: @yumisaitoparis
ブログ「パリで花仕事」:https://ameblo.jp/yumisaitoparis/