更新日: 2020/03/24
手書きの文字はときに見る者の心を動かします。世界を旅するなかで麻衣さんはどんなハンドライティングに心奪われたのでしょうか。
撮影・文:村川麻衣
前編では景色に馴染むような看板やサインについてお伝えしました。後編では、愛らしい手書きの文字のサインについてのお話です。
アムステルダムを歩いている時にふと目に止まったサイン。「the darling」と書いてあります。細い文字から、儚さや切なさやを感じつつも、羽ばたく鳥の絵から溢れ出すのは軽くて明るい気持ち、そんな印象です。手前の植物とのバランスも素敵です。
こちらもアムステルダム。朝食を食べに入ったカフェBij Paulの窓ガラスに書かれていた文字。「角を曲がったところに入口があります→」と書かれていますが、見慣れないオランダ語のせいか余計におしゃれに見えました。
パリの北マレにあるOfr.という本屋さんの前にあったベンチ。意図的なのか落書きなのかはわかりませんが、アート作品のようにも感じます。
パリの橋に刻まれた文字は、愛の言葉でしょうか。セーヌ川と一緒に素晴らしいパリの景色。
パリでの旅、最終日の日に歩いていると、MERCIの文字が目に飛び込んできました。パリから「ありがとう」と言われたようで、うれしくてシャッターを切りました。
イギリスのウェールズで立ち寄ったカフェのオーダーシートに書かれた店員さんの手書きの文字がかわいくて、つい「日本から来ました。この紙ください!」といただいたもの。こういうものが、旅の記憶に一番残ったりします。
ベトナムのガソリンスタンドはまだまだアナログな印象。同じサイズのクリップに留められた、紙の束に手書きの数字の羅列がなんだか愛おしくて。
台湾で目に止まった看板は手書きの文字ではなく、紙を切ってつくられた文字でした。不揃いなのに、どこか統一感があって愛嬌があります。
いろいろな国を旅して見つけた文字やサイン、今度旅をするなら、そういったものに焦点を当てた旅もいいなと思ったりしている3月の終わりです。
村川麻衣
長崎県生まれ。紙ものなどを中心に扱うアンティークショップでの経験とお菓子やさんを運営する株式会社ネネンのクリエィティブディレクターとして広報・企画・ウェブディレクション・新ブランドの立ち上げ、ギャラリーのキュレーション等を手掛ける。2019年独立。現在は大阪を拠点に世界中を旅しながら、アンティークのバイイング、企画・ブランディング・コンサルティング・ディレクション・撮影などを行う。ROMANTIC LETTERSという屋号で“好き”をコレクション・販売している。
詩人「月森文(つきもりふみ)」としても活動中。
ホームページ:https://www.maimurakawa.com/
インスタグラム:@maii_mrkw