更新日: 2019/11/12
前編に引き続き、恋する多肉植物図鑑です。ベンケイソウ科の4つの属が登場します。
撮影・文:TOKIIRO(近藤義展)
僕が恋してやまない多肉植物は、ベンケイソウ科にまだまだたくさんあります。
日本の気候に合っていて、庭の隅に植えた子たちが年月を経て群生している姿をあちらこちらで見かけます。それは圧巻です。茎立ちせずに、枝垂れていくグループのグラプトペタルム属です。
秋麗*紅葉するとオレンジ色に
冬は紅葉し淡いオレンジ色に変わります。強靭で増えやすく環境に適応する力もあるのでおすすめです。春には葉の間から花芽を出して花を咲かせます。
朧月*食用としても人気
この種も日本の気候に合っている品種です。花のように広がる葉が何層にも枝垂れていく姿は美しいし力強いです。食用としても出回っていてヨーグルトやサラダに合わせて食べる方が急増しています。
僕のアレンジには必ず入っている優秀な子たちを紹介します。セダム属です。セダム属には葉や茎が小さく細い品種と肉厚で比較的大きい品種とがあります。
今回は細葉のセダムを紹介したいと思います。アジア出身のものも多く雪の下で越冬するものや冬期はいったん葉を縮めて春を待つものも。一見すると多肉植物には見えないかもしれないですが、立派なベンケイソウ科の多肉植物です。
パリダム*ボンボンのような可愛いらしさ
青緑の小さい葉がまるでボンボンのようで可愛らしい品種です。葉が小さい分保水能力も低いため、アレンジに入れておくと全体の水やりのバロメーターにもなります。太陽たっぷりの環境で育てていくと強くしっかりとした株になり、多少の気候変動ではびくともしない体になります。
白雪ミセバヤ*白い姿はアレンジのポイントに
セダムの中では一番白い品種ではないでしょうか。年間を通して白いのでアレンジの中のポイントになってくれます。子どもをランナーで出し増えていきます。
続いては強くたくましいグラプトペタルム属と美しいエケベリア属の交配によって生まれたグラプトべリア属。いいとこどりな品種たちです。
バイネシー*ビーチを彩るパラソルのよう
淡い紫がかった葉色が独特。肉厚で強いです。茎立ちしていく姿は大木の上に咲く大きな花のようでもありビーチを彩るパラソルのようでもあり、アレンジの世界が楽しくなりますよ。
白牡丹*牡丹の花のような華やかさ
流通量も多く、葉1枚からどんどん芽を出すので手に入りやすい。花もたくさん咲くので多肉植物を迎え入れたい方には向いています。太陽が大好きなので間違って室内においてしまうとすぐにヒョロヒョロの元気のない株になってしまいます。
最後にこれこそぷくぷくのTHE多肉植物という種類です。パキフィッツム属。すごく肉厚で葉には到底見えないぐらいのぷくぷく感です。太陽の下では基本的には強く、葉からも増えるのでアレンジの中でも存在感があります。ゆっくりしっかり育つと茎立ちします。極端な色の変化はありませんが、冬季にほんのりピンクがかった葉姿を見るとキュンとします。
月美人*ぷっくり感がたまらない
もぅぷくぷくです。冬はほんのりピンクで優しい葉色、花は鈴なりに咲きます。茎立ちしていくのでほんと不思議な絵になるんです。それがほんとに可愛いんですよ。
フーケリー*お菓子のようなフォルムが可愛い
こんな形のお菓子が昔駄菓子屋さんで売っていた気がします。不思議ですね。
いかがでしたか?それぞれの属によって育ち方や水の欲しさに違いがあったり、品種によって季節ごとの色が違ったり、花が咲いたりと、楽しめるポイントがたくさん。組み合わせて世界をつくるアレンジもぜひ皆さんに挑戦していただきたいです。
TOKIIRO(トキイロ)
多肉植物に特化したアレンジを提案する近藤義展、近藤友美とのユニット。グリーンデザイン、ガーデンデザイン、ワークショップ開催など多岐にわたる活動の中から、空間(器)に生きるストーリー(アレンジ)を創作している。『ときめく多肉植物図鑑』(山と渓谷社)、『多肉植物生活のすすめ』(主婦と生活社)の著書のほか、監修本も多く、いずれも英語版、中国版、台湾版に翻訳され、グローバルに活躍の場を広げている。
ホームページ:http://www.tokiiro.com/
インスタグラム:@ateliertokiiro、@tokiiro_life、@pause_story_
Facebook:@AtelierTOKIIRO
ウェブショップ:www.tokiirowebshop.com
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