更新日: 2019/10/15
前編では、ニューヨーク・ブルックリンで開催したトキイロさんの展示会の様子をご紹介しました。後編は、ニューヨークでのインスピレーションを元に制作したという、多肉植物のアレンジとそのつくり方です。
撮影・文:TOKIIRO(近藤義展)
ニューヨーク・ブルックリンの街並みは、古いレンガ造りの建物が並び、木々も生き生きとしていました。後編では、そんな風景からインスパイアされた作品制作を見ていただこうと思います。
用意するのは、太陽をたっぷり浴びて生まれた多肉植物、ベンケイソウ科セダム属パリダム。
どうでしょう、このもこもこと苔のように育ったパリダム!通常園芸店などで販売されているパリダムをご覧になった方は「知っているパリダムと形が違う」と思ったかもしれません。本来太陽がたくさん当たる場所で育った個体はぷくぷくでこんなに可愛いんですよ!
今回はこのパリダム中心にアレンジしていきます。
器は福岡に窯を持つ陶芸家・石原稔久さん作陶の一品。ニューヨークっぽいですよね。
土をふんわり多めに入れます。ふんわりが大事。
パリダムを“ふんわり土”に一芽ずつ丁寧に植えていきます。“ふんわり土”にした理由はパリダムの根を抵抗なく土に入れるためです。
パリダムを追加していきます。
白い多肉植物はベンケイソウ科クラッスラ属パンクチュラータ。グリーンとのコントラストを出したいときに、僕がよく使う多肉植物です。白い粉を吹いた、小さいけれど木のように育っていくので、景色の中で存在感があります。
次に入れるのはベンケイソウ科グラプトペタルム属姫秋麗(ひめしゅうれい)。昨年から養生をしてきて太陽にたっぷり当てたので、ばっちり葉が詰まった姫秋麗になりました。
パンクチュラータで挟み込んで景色をつないでいきます。
パリダムを入れてさらに景色をつなぎます。植物は自然界ではある程度のグループで存在していますが同一品種ではないですよね。アレンジにもそんな植生を反映しているんです。
仕上げのパリダムを入れて完成です。題して「レンガに生きる小さな命」。アレンジ/近藤義展、器作陶 /石原稔久。
長い間、雨風にさらされ積み上げられたレンガ。そんな無機質な空間にも生命は根を張り、命を運びます。ニューヨーク・ブルックリンの街には、そんな古き良き時代のアメリカと文明が進化して世界のアートが発信される街とのいい関係がある気がするんです。
夏の終わりのニューヨークはまだまだ活気があって季節が移り変わっていくことを感じさせない。その風景のなか、植物たちも同じように生い茂り、凛と空を目指していました。秋、冬と着実に向かう時間を感じながら、根はもう準備に入っていることでしょう。
TOKIIRO(トキイロ)
多肉植物に特化したアレンジを提案する近藤義展、近藤友美とのユニット。グリーンデザイン、ガーデンデザイン、ワークショップ開催など多岐にわたる活動の中から、空間(器)に生きるストーリー(アレンジ)を創作している。『ときめく多肉植物図鑑』(山と渓谷社)、『多肉植物生活のすすめ』(主婦と生活社)の著書のほか、監修本も多く、いずれも英語版、中国版、台湾版に翻訳され、グローバルに活躍の場を広げている。
ホームページ:http://www.tokiiro.com/
インスタグラム:@ateliertokiiro、@tokiiro_life、@pause_story_
Facebook:@AtelierTOKIIRO
ウェブショップ:www.tokiirowebshop.com
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