BOOKS
暮らしの本
著者:やなぎ けんじ 監修
読んだ人:酒井絢子(編集ライター)
隙間を見つけたら色をつけたくなる気持ちは、誰しも本能的に持っているものなのかしら、と思ったことがあります。紙にある線の隙間も、心の隙間も。
6歳のわが子が落書き帳に何か描いていました。点をいくつも描いてそれを繋げていく、いわゆる「てんつなぎ」のような遊びを自分でつくり、赴くままに線を引いて。複雑に織りなすたくさんの線で描かれたものは、不思議な魚に見えなくもないような。そこで終わりかと思いきや、線で囲われた隙間の部分を、おもむろに色鉛筆で自由に塗っていったのです。最終的には鮮やかな虹色の魚に変身しました。
大人は「心の隙間」なんて言葉を使うけれど、それもやっぱり埋めたくなりますよね。言葉や食事や運動など、やり方はなんであれ、美しい、自分らしい色を持って心の隙間を埋めることができたら・・・。
私が実際にこのマンダラぬりえに手をのばしたのは、とある悩みでもんもんとしていた時期。わずかな隙間を少しずつ塗り進めていくうちに、ざわざわした心が静かになり、安らいでいく感じがしました。マンダラの複雑さがむしろパワーとなって、新しい自分へと連れて行ってくれるように。
ぬりえというと、ひとつのスペースにひとつの色を、きっちりと塗っていくものと思いがち。でも本書の提案のように、広めの部分には色から色へのグラデーションに挑戦してみるのもいい。色を変えなくても、力加減を変えて濃淡をつけるのもいい。塗っているうちに、なんだかどんどんアイデアが浮かんできます。
本書では色使いによるヒーリング効果についても解説があり、今の自分をどうしたいかによって色選びができます。逆に、無心になって塗ったマンダラがどんな色合いになっているかで自分を占うのもいいですね。
ぬり終えたあとは、心が整い、達成感とともに次へと進む力が引き出されたよう。少しでも興味がある人には、ぜひ一度体験してもらいたい! 線の隙間をぬることで心の隙間も埋めてくれるような、美しく癒されるマンダラぬりえです。
マンダラに色をぬって、人気のカラーセラピーを楽しんで。プロがセラピー効果を高める色のぬり方や色の組み合わせを解説。彩色見本つき。
書籍名:healing mandalas 心を鎮める、マンダラヒーリングbook
監修:やなぎ けんじ
ページ数:112ページ
判型:判型B4変型判
発売日:2017年8月
定価:1,188円(税込)