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しあわせを引き寄せる 洋菓子の事典

著者:今田美奈子

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お菓子の本なのに、読みふけってしまうなんて!

読んだ人:庄司靖子(編集者)

この本には、ひとつひとつのお菓子に秘められた物語が綴られている。どのお菓子も見たことのあるもの、食べたことのあるものだが、歴史やエピソードは知らなかったことばかりだ。

 

夢中になって読んでしまうお菓子の本が誕生した理由は、ソフィア・コッポラ監督の映画『マリー・アントワネット』だったと担当編集者はいう。
この映画に登場する洋菓子の形が現代も目にする洋菓子とあまり変わらないことが気になった。200年以上昔のフランスで食されていたお菓子とほぼ同じものを現在でも味わっているということは、身近なお菓子に深い歴史やストーリーがあるのではないか、と思ったのだそうだ。

 

著者の今田美奈子さんは、ヨーロッパ伝統の洋菓子を紹介する著書を日本で初めて出版したといわれている。今田さんによると、お菓子が辿ってきた歴史はどれも“人のしあわせにつながる物語”だったそうだ。その物語を伝え、何気ないお茶の時間を少しでも楽しんでもらいたくて、本書が誕生した。

 

お菓子に込められた物語をひもとき、その名前の意味を理解すれば、伝統の素晴らしさを改めて実感できるだろう。たとえば、ガレット・デ・ロアというお菓子は、怪我を負ったフランソワ1世を見舞うためにつくられ、王冠がのせられたといわれている。パイの中にフェーブ(陶器小物)が1個入っていて、切り分けたときに当たった人は一日王様になるという習慣のある、幸せ探しのお菓子だ。スピードが求められる今の時代、ひとつのお菓子を通じて過去に思いを馳せ、遠い国で起こったエピソードを思い浮かべ、しばし立ち止まることは、とても大切なことかもしれない。

 

物語の他にも、基本のレシピや、おもてなしのテーブルセッティングも紹介されており、お菓子の本としてもうれしい1冊。また、「しあわせを引き寄せるアイテム」というコラムが別の視点からお菓子の歴史や文化を伝えてくれ、物語に奥行きを持たせている。

概要

形や材料・名前・伝統に秘められた物語を、80点以上の洋菓子作品の写真とともに紹介。洋菓子界のカリスマ・今田美奈子氏による渾身の一冊。

詳細情報

書籍名:しあわせを引き寄せる 洋菓子の事典

著者:今田美奈子

ページ数:192ページ

判型:A5判

発売日:2017年5月

定価:2,052円(税込)

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