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暮らしの本
著者:ハーバリウム普及推進委員会
読んだ人:酒井絢子(ライター)
モチーフを閉じ込めたインテリアオブジェは、ハーバリウムのほかにもたくさんある。歴史を感じるのは船の模型を瓶に収めたボトルシップ。ちょっぴりノスタルジックなのはファンシーなスノードーム。それにここ数年で定番化したUVレジンを使用したアイテムなどなど。
中でも、ハーバリウムが最もナチュラルな印象のオブジェだと言っていいと思う。そもそも「ハーバリウム」とは植物学における標本のことを指す言葉であって、ありのままの姿を保存する技術をインテリアに落とし込んでいるのだから、当然といえば当然だ。
生きた観葉植物やドライフラワーのブーケももちろん素敵だけれど、飾りながら長く管理するとなるとやっぱり大変。それが専用のオイルで閉じ込めるハーバリウムなら色鮮やかなまま1年はずっと眺めていられるし、何よりお手入れ不要の美しいオブジェになるとあれば、最近の人気にもうなずける。
本著で作り方が紹介されている40のラインナップは、ずんぐりとした瓶に可憐な花がぎゅっと詰まったものや縦長の瓶にすっきりとシンプルに葉だけが収められたものなど、多岐にわたる。ひとくちにハーバリウムといってもそれぞれから受ける印象は幅広い。
この中から、誰でもきっと「部屋に置きたいな」と思える好みの作例を見つけることができるはず。その部屋が無垢材で囲まれた温かみのある部屋だとしても、モノトーンでまとめられたクールな部屋だとしても、すっとなじんでくれそうな汎用性の高さもハーバリウムの魅力のひとつだと思う。
本著には「配色のルール」や「SNSへのアップのコツ」「ハーバリウムQ&A」など、初心者にも嬉しい詳しい解説つき。お気に入りのプリザーブドフラワーやドライフラワーに出会ったら、光を取り込みながら瓶にそっと閉じ込めて。部屋に飾れば、きっと心も煌めくはず!
ハーバリウムの基本のつくり方から、浮遊固定させるテクニックなどを解説。動画で確認しながら製作することができるのもポイントです。