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彩る 装う 花刺繡

著者:井沢りみ /salvia /マカベアリス /森本繭香

  • 彩る 装う 花刺繡
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一期一会の風合いが愛おしい。いざ、めくるめく刺繍の世界へ

読んだ人:水谷 花楓(ライター)

刺繍を趣味としている友人がいる。3児の母であり、会社も経営する超多忙な日々の中で、定期的に作品を生み出しているらしい。

 

私にとって刺繍といえば、「アルプスの少女ハイジ」に出てくるちょっと意地悪なキャラクター、ロッテンマイヤーさんが、部屋の片隅で黙々としていたイメージしかない。寝る間もないほど忙しい友人が夢中になる理由はどこにあるのだろう?

 

そんな疑問を抱いていた矢先、出会ったのがこの本。4人の作家による「花」をモチーフとした作品集、『彩る 装う 花刺繍』である。

 

「なにこれ、超かわいい…!」。1冊を見終えて出た感想だ。

どの作品も色合いが良い。作家が違えばテイストも違うのだが、この色とこの色を組み合わせるとは!という、ぐっとくるチョイスばかり。眺めているだけでも心躍る。同時に、ツヤがあるものからナチュラルカラーまで、刺繍糸のカラーバリエーションにも驚いた。ロッテンマイヤーさんも、こんなにかわいい刺繍をしていたのだろうか。嫌われ役のイメージだったが、一転して愛らしいキャラクターに思えてきた。

 

義母からもらった手芸道具の中に刺繍糸が数種類あったことを思い出し、早速小さな草花のモチーフに挑戦することに。

 

「なにこれ、超おもしろい…!」。ひとつ刺し終えて出た感想だ。

でき上がった小花は、少し不格好だが、ぷっくりとした立体感がこの上なく愛らしい。手刺繍はそのときにしか出せないニュアンスがおもしろいよと友人が言っていたが、まさに。ミシンで簡単に美しい刺繍はできるけれど、このちょっと不格好が故に愛おしい味わいは手仕事ならではだろう。

 

本書の中には、フェルトやビーズを組み合せた作品もあり、こちらにも挑戦してみたくなった。刺繍糸も、もっと欲しい。家にある無地の巾着袋のワンポイントに刺繍をしてみようか。娘の保育園の帽子に刺してもいいかもしれない。「どんな図案をどんな色で刺そうか考えたり、できあがったものを使うシーンを想像したり、糸の売り場に行ってあれこれ迷ったり、そして実際に刺したり。そんな時間が楽しいですよ」と声をかけてくれた担当編集者の言葉に納得。

 

めくるめく刺繍の魅力にハマっていきそうだ。

概要

4人の作家による、花をモチーフにした刺繍の作品集。刺繡のテイストも技法もさまざま。ブローチやバッグへの仕立て方も紹介。

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